こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。
昨日、ひさしぶりにE線がバチコーンと切れました・・・
暑さと湿気と汗で
かなり過酷な夏の時期だったので
いつ弦が切れてもおかしくない状態でした。
ちょうど練習が終わるタイミングだったので良かったです。
切れた瞬間は、さすがに「おおっ」となるのですが
どの部分から切れたのか確認します。
根元か?
真ん中か?
先か?
(E線は根元からの場合が多い)
次に楽器に傷がついていないか確認します。
今まで傷がついたことはないのですが
一応確認。
(切れた弦を持ちながら楽器を持ったりすると
自分で傷つけることがあるので要注意です)
後は粛々と弦を取り換えます。
スペアの弦は、それぞれ2本ずつくらい持っているので
取り換えたら補充するようにしています。
(今回はスペアが1本しかなかったので
焦って今日、買ってきました)
楽器は4本の弦を張った状態が本来のテンション(張力)なので
速やかに弦を張り変えなければなりません。
私はこの弦を変える作業が苦手です。
小学校高学年からずっと自分で張り替えているのですが
なかなか思うように弦を張ることができません。
不器用なんだと思います・・・
糸巻の向きによって、調弦が容易だったり、難しかったりするのですが
いつも1回でできたためしがありません・・・
四苦八苦してやり直していると
今度は駒の角度が変わってきてしまいます。
楽器と駒は90度。
やっと張り替えて
新しい弦を弾いてみると
新品の音がします。
キラキラして
ちょっと生々しい音。
そこで慣れるために
音階を弾いたり、練習曲を弾いたり
全部の弦を弾いてみたり
バランスを整えていきます。
ここまでの作業で20分くらい。
私の場合は緊張するので汗だくです。
深呼吸をして終了。
しばらくしたら
もう一度楽器ケースを開けて
弦の様子を見ます。
この作業をオーケストラの演奏中に
舞台上でやってのけた古参のメンバーがいました。
コンチェルトを演奏していたソリストのE線が切れた時に
「この弦に張り替えて3楽章までに返して」と言われて
楽器と弦を持たされたことがあります。
通常、弦が切れた時は舞台袖に戻って
弦を張り変えたり
別の楽器を持ってきて演奏を続行することになっています。
この時は、舞台袖まで戻らず
舞台上で今すぐ変えてくれ!ということでした。
ただでさえ苦手な弦の張替えに「私はできないからお願い!」と
後ろの古参のメンバーに渡しました。
黙って弦と楽器を受け取り
2楽章という静かな楽章の中を音もなく作業し
時間ぴったりに楽器がソリストの手に戻り
完璧な調弦で演奏が終わったとき
私たちオーケストラのメンバーは
古参のメンバーにブラボーを言ったという
懐かしい思い出があります。
しみじみ・・・
そういえば・・・
今回弦が切れた時
根元のループ部分が飛んでいったはずなんだけど
見つかっていないから
部屋のどこかに転がっているかもしれないが
踏みつけたら痛いだろうなぁ・・・]]>リサイタルのチケット発売開始になりました。
12月はまだ先・・・
と思っていても
時間は音もなく進んでいるので
早めに自分時間を確保しましょう!
今年のフライヤーも
ステキなデザインに仕上げていただきました。
この数年は、同じようなスタイルの写真ですが
とても気に入っているシリーズです。
2014年から始まったベートーヴェンのソナタシリーズ。
11年は思いのほか、大きくながい時間でした。
自分の状況がここまで大きく変化するとは思っていなかったですし
コロナ禍なんて誰も想像していなかったし・・・
10年という時間を安易に、簡単に考えていたなぁ‥とも思います。
でも、自分の中にある軸は変わることなく
ひたすらに歩んできたという
まさに【涓滴岩を穿つ】の心境そのものです。
飽きっぽくて
集中力が続かなくて
興味の対象がバラバラで一貫性がなく
気持ちの起伏が激しい・・・
ベートーヴェンのソナタ10番が
私に変化の兆しを与えてくれようとしています。
12月までの時間を大切にしながら
このブログでも
自分について
音楽について
ベートーヴェンについて
その他の楽曲について
綴っていこうと思っています。
そのうえで
当日会場でお目にかかれることを楽しみにしています。