塚本香央里(つかもとかおり)
 ~ヴァイオリニスト&ライフオーガナイザー~
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2026/06/10
161「梅雨は本と共に」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

梅雨らしいお天気ですね。

先日ようやく読み終えた本のことを少しだけ。


『「世界を動かす宗教」講義』(池内恵 編著)

1か月くらい持ち歩きながら読んだ。なかなか進まなかったのは、自分の身辺が忙しかったからという理由もあるが、世界の動きを頭に入れながら歴史を追いながら読むのは私には難しかった。そもそも自分の基礎知識に偏りがあるからだと実感。まだまだ勉強することはたくさんあるな、と痛感。


政治に密接している宗教。私たち日本人には難しい問題だと感じてしまう。

個人的にはイスラムのジェンダー論がとても興味深かった。イスラムの女性は制限が多すぎるのではないか、という一般的な見方は正解ではない。その社会で生きている女性たちは、自分たちがより良い生活ができるようにとしっかりと主張しているのだ。声高に発信するのではなく、より深いところでたくましく、したたかに生きていることを感じる。自分の生き方に軸があるのだと思う。


日本の宗教は曖昧だと言われる。そのあいまいさが自由に感じられるし、束縛にもなり、逃げられる余白にもつながっている。言葉にしなくとも・・・という感情・感覚の美しさを磨いてきた私たち日本人も、時代の流れに沿って緩やかに変化の途中なのかもしれない。すべてを言語化することは難しいとしても、言葉にするからこそ理解しあえることも学んでいかなければならないのだと思う。


読みながら、歴史のことを考えたり、いまの社会を改めて見つめてみたり、自分のいる日本とヨーロッパに住んでいる娘たちのことを考えたり・・・
内容が世界の宗教について網羅してあったのは私にとって良かったかもしれない。対談あり、文献あり、切り口が様々にあることが面白かった。ただ、こういった変化の途中のものは、なるべく早く読まないと情報が古くなることも心に留めておかなければならない。現状はまた変化している可能性が高い。
本の読み方も色々あるということを実感する1冊だった。



2026/05/29
149「5月の積読状況」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

5月の積読状況。

今月は長いゴールデンウィークを過ごして、ひとり合宿をしてみたり、放置していた作業を進めてみたり、準備することも多かったのでなかなか本を読む集中力がありませんでした。それでも、ずっと読み進めていた本が読み切れたり、今まで読んできた本とのつながりができて、理解できることが増えたりしたので、とても有益な読書月間だったと思います。


この数か月、積読日記(というようなメモ)をつけてみて気がついたことは「強制的に読む時間を取らないと読書から遠ざかる」ということ。当たり前のことですが、本を読むって時間がかかります。特に私は本の内容に没入してしまうので、気になることがあると落ち着かなくて、文字に集中できなくて遠ざかってしまう。

そして私はアレコレ思考が飛ぶので集中力散漫になりがちです。ペース維持できる本と、頑張らないと読めない本があるので、何冊かを手元に置いておくと良いことにも気がつきました。

また、見えるところに本を置いておくことも大事。出かける時にもサッとカバンに入れられるようにしておくことも、本から離れない工夫です。

以前は文庫カバーを愛用していたのですが、近頃はカバーを外してそのまま読むスタイルになりました。その方が荷物が軽い・・・だれも私が読んでいる本に興味を持つ人はいないので(笑)電車移動時間を楽しんでいます。


ちょっとした工夫で、毎日の生活が有意義になる。

自己満足が暮らしを豊かになっていく。

余裕のある人になると、周りに波及していく。

 

その実感が確かにあります。


あなたはどうですか?
今週末、本屋さんへ行って気になる本を買ってみませんか?



2026/05/27
147「自由・アンゲラ・メルケル」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

アンゲラ・メルケル

ドイツの第8代連邦首相。在任2005年11月から2021年12月。ドイツ史上初の女性首相。

彼女の執筆した「自由(FREIHEIT)」を読了。

上下巻約800ページ。はぁぁ…長かった。単行本なので移動中に読むには重たすぎて、2か月くらい机の上に鎮座していた。途中で色々な本に寄り道しながらだったが、最後は一気読みだった。


私は父の仕事の関係で西ドイツに住んでいた1970年代後半。当時のドイツ連邦首相はヘルムート・シュミット氏だった。ドイツ人らしい顔つきで、いつもテレビに映っていたので馴染みがあった。ドイツ語も分からないし、ましてや政治なんてチンプンカンプンだったが、SPDという政党とシュミット氏の顔はその頃の思い出に鮮やかに巡ってくる。その後、CDUという政党のヘルムート・コール氏が首相になったけれど、その頃には日本に帰国していて、私の関心は日本の事になってしまったので記憶の彼方へ追いやられてしまった。その後、ドイツは東西ドイツ統一という、一夜にして劇的な変化を迎えた。その直後、私は留学するのだが、その前後はずっとコール氏が首相だった。彼は1982年から1998年までの16年もの間、ドイツ連邦首相として政治を推進してきた。その後政党はSPDに移ってゲルハルド・シュレーダー氏になり、2005年にアンゲラ・メルケル氏が首相となる。私自身はその頃、正直に言えばあまり興味がなくて、メルケル氏の存在はもっと後になって注目したくらいだった。だから、今回この本を買った理由の一つとして「2000年からの20年間、世界で何が起こっていたんだろう?」という基本的な、私の知識の空白を埋める格好の情報源になったことは否めない。2001年9月11日の事件から、リーマンショック、アラブの春や福島原発、ロシアや中国の台頭などをひとつひとつ調べていくのは骨が折れる。メルケル氏はまさにその時、ドイツの政治家としてそれらを見つめていたことになる。各国の首相たちも、あぁ、この時にこの人がいたんだ!こんな会話をしていたのか!と改めて私の記憶をアップデートする役割にもなった。


もちろん、政治的な物事は一つの視点からだけ見るのは危険だ。多角的に、各所からの視点は必要だが、私のような一般人には政治の駆け引きは当事者ではないので客観的に見ることができる。それが読書の楽しい一面である。


膨大な資料を時系列、または事柄によって分別しながらメルケル氏の足跡をたどるのは、読者としても骨の折れるものだ。土の時代から風の時代への変化期は2000年から始まり、20年以上も確実に政治の世界を吹き荒れて、時代が移行した今なお風は収まる気配がない。

そんなことを思いながら、執筆された時期と今では、また時代が進んでいることを痛切に感じた。





2026/05/24
144「死について考えることが多くなりました」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

「年とる力 阿川佐和子」(文春新書)

積読の解消はずっと続きます。ついフラフラと本屋さんに寄ってしまうと、読みたい本や気になる本が押し寄せてきて、気がつくと手には2,3冊を抱えている状態になります。「今読むべきか?それとも積んでおくべきか?」というしょうもないことを考えながら、時に本を棚に戻しつつ、時にお会計へと急ぐことになります。


今回の本は、たまたま立ち寄った駅の本屋さんで手に取ってそのままお会計に行っていました。


阿川佐和子さんの本は、次女がエッセイ好きなのでよく読んでいました。

近頃は70代になった著者の生活エッセイが多く、ちょっと先を行く先輩の毎日を覗いているような感覚で読んでいます。近頃の本屋さんには、80代、90代の方が執筆したエッセイ集の多さに驚きます。執筆が本業ではない方の生活に関するエッセイ、お金に関するエッセイ、趣味に関することなど多岐にわたる内容で、背表紙を見ているだけでも楽しいです。ただ・・・よく内容を確かめないとがっかりすることも多いので購入には厳しい目で臨みます。


阿川佐和子さんの文体は嫌味の無い笑いと、自分の失敗談をさらりと表現するところにいつも魅力を感じてしまいます。自分の失敗談って、なかなかうまく書けないし、自分としては忘れたくて記憶から無くしているし・・・できれば晒したくないです。ちっぽけですが、自分のプライドが許さないという、ちっちゃな自分がいます。でも阿川佐和子さんの場合には、それが読み手としては読みたい部分であることもよく知っていらっしゃいます。クスリと笑ってしまうことも、品よくかわすところが「わぁ、いいな」と思ってしまう。私もそんな風に書きたいなぁと思ってしまいますが、あこがれだけで終わりそうです・・・


今回は最後の章『最期にむけて』が一番グッときました。

私はまだ(一応)50代ですが、死については頭の片隅にしっかりと居座っています。私自身、多分、他の人よりも死を意識して過ごしてきたような気がします。中学時代にクラスメイトが病気で亡くなったり、友達のご両親が相次いで亡くなったり、自分の祖父が亡くなって葬儀というものをはじめから最後まで経験したことがずっと心にあるからかもしれません。10代にわりとたくさんの葬儀に関わったこともあり、死に対しての経験が自分の中に蓄積された感じです。30歳の1年で母を含めた3人を亡くしたことが大きな重しとなり、54歳で身近な2人の家族をほぼ同時亡くすということで死がすぐ隣に座っているように感じます。

怖い思いと、やるせない思い、残された家族の焦燥感などを身近に感じたことも大きく影響しています。

今までは見送る方としての心構えなどを主に考えていましたが、これからは見送られる方としての姿勢に切り替わっている感じがします。

「長らくお邪魔しました」と言って去りたい阿川さん。

私は飛ぶ鳥跡を濁さず「じゃあね」といって待っている人の元へ飛び込んでいきたいと思います。



『年とる力』阿川佐和子 | 文春新書 七十過ぎても楽しく元気に過ごす秘訣とは 冠番組にドラマ出演、新聞雑誌の連載…。古希を越えますます活躍中のアガワが健康法や美容、趣味など笑って楽しく生きる秘訣を告白。『年とる力』阿川佐和子
 



2026/04/21
111「寄り道しながら毎日を 読書日記」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

ちょっと寄り道に逸れてみる。


今日は『破獄』(吉村昭 新潮文庫)を読み終わりました。久しぶりに手に取った吉村昭の作品は、やはり読み応えがあって面白かったです。最初の50ページくらいの速度が遅めになってしまうのですが、その後は一気読みに近いです。本に没頭できる時間があるのは贅沢なことですね。


 

『破獄』は、実際に起こった4回も脱獄を繰り返した囚人と、その周りの見張った人たちの闘い、または人間関係の話ともいえる。昭和20年前後という戦争によって変化していく時代背景も興味深かったし、その混乱の中でも【刑務所は機能していた】という当たり前だけれど、見張られる人と見張る人の異様な交錯に想いを巡らせることができた。秩序を守ることに必死すぎると、小さくて思わぬ気持ちの変化で隙ができてしまう。心理戦の妙味。史実を追って語られる淡々としたノンフィクションものではなく、登場人物に体温があって彼らの感情がこちらにしっかりと伝わるという手法は、読み手をグイグイと物語の深淵へと連れていく。それは資料を微細に読み取り、取材を丁寧に重ねたという吉村昭という作家の作風ともいえる。執念ともいえるような調査をしたと言われている。その裏付けに、読み手は安心して物語に沈むことができるのだ。

戦中・戦後の食糧事情には、一般市民と囚人たちに異様なアンバランスがあったことを初めて知った。今までの常識が徐々に崩れていくこと。早急な埋め合わせを考えなければならないこと。後々のことを考える余裕のない毎日。日本中の誰もが必死に生きていた時代。ふと、あの混乱を生き抜いた私の祖父母や両親たちも、理不尽でやるせない思いをもって生活をしていたのだろうか?と思いを馳せる。いつも穏やかに、ニコニコと笑っていた顔しか思い出せない祖父母たち。親の苦労を知り、共に生き延びるために不平不満を言わなかった自分の両親。先の家族の歴史を辿ることは、自分から次の世代へバトンを渡していく軸を考えることになる。そんなところまで思いを馳せることができたのは、本当に貴重な時間だった。


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