塚本香央里(つかもとかおり)
 ~ヴァイオリニスト&ライフオーガナイザー~
 

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2026/07/02
183「視点を変える・視察旅行⑦」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

以前ヨーロッパに暮らしていたからこそ、日本との違いを感じることができるのは、視点の変換という普段の生活ではできないことが浮き彫りになります。今回の旅ではちょっと意識して観察してみることにしました。私個人の主観なので、間違っているかもしれないということをお断りしておきます。


海外でよく見かける老夫婦の姿。手をつないでお互いに寄りかかりあいながら歩いている姿は、今も昔も変わらなかったです。羨ましいなぁ、と思いつつ、私たち夫婦が彼らの年齢で同じようにしていたかどうか・・・きっと違う形で二人で過ごしていたかもしれない、とも思いました。ヨロヨロと歩く老人をあまり見かけることはなく、一人で行動している老婦人や老紳士も多く見かけました。なんとなく、年代別に集う場所も分かれているような気もしました。子どもの声が良く聞こえて、元気な泣き声やしゃべっている声があふれていました。電車を降りるときにベビーカーを当然のように手伝う人がいて、店舗に入るときのドアは老若男女問わず後ろの人を気にして抑えて待ち、「ありがとう」と声を掛け合うことが自然でした。

街中ではどちらかといえば一人で行動している老婦人を多くみかけました。美術館の受付で、チケットを購入しながら見どころを訪ねていた老婦人。おしゃれをして地下鉄に乗っていた上品な婦人。レストランで楽しそうに二人でお茶を楽しむ老婦人ふたり。ワーキングウーマンたちが、スーパーの巻き寿司をテイクアウトしてレマン湖畔でおしゃべりしながらお昼を過ごしている姿はオシャレでした。(美味しいかどうか?それはわかりません)

自分のモデルになるような女性を探していたかもしれません。


窓口でどんなに長く時間がかかっても、だれもイラついた態度をとることなく辛抱強く待っている人たち。お互いの時間を尊重して、面倒がらず、邪険にすることなく、時間を最大限に使って相手に向かっていく姿が印象的でした。わからないことはちゃんと聞く。私もswiss passを購入するのに、確認を怠らず、少しの疑問点も質問しましたが、嫌な顔をすることなく辛抱強く説明してもらえました。たとえ私の英語がハチャメチャであろうとも・・・美術館のチケット販売では3つある展示会の全てを細かく説明してもらって、どのチケットを購入したら良いのかまでアドバイスをもらいました。逆に、ホテルのシャトルバスが夕方の時間帯だけ運行されていないことを知らなくて、ずっと待っていたことがありました。チェックインの時に「一日中運航しているよ」と言われて確認しなかった自分のせいなのですが、たしかに受付の人は夜間担当だったので日中のことは担当外だったのかもしれません。

「こちらの人は、自分の担当することは責任をもって細かく教えてくれるけれど、一旦担当外になると雑だよ。でもね、それでいいと思う。担当外のことまで知るべきなんて、責任が大きすぎて負いきれないからね。」と次女がサラリと言ったときには「ほんと、その通りだ」と納得しました。日本にいるとついつい担当外のことまで知っていなければならないと思って、荷重が大きくなり、結局自分の担当のところもあやふやで中途半端になってしまうことが多いのは経験済みです。担当の場所に責任を持つことの重要さを改めて学びました。


時間の流れがゆっくり感じられるのは、空間が広いということだったり、人との適切な距離だったり、教会という存在があったりすることかもしれないなぁと思いました。


2026/07/01
182「3人で会う・視察旅行⑥」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

13日間の滞在中に、数時間だけ3人で過ごすことができました。

ドイツに住む長女のところへ次女が電車を乗り継いで会いに来てくれたのです。目的はドイツへの引越しを控えた次女が、荷物を預けに長女の家に来ることでしたが、その時期を私の滞在時期に合わせてくれました。日本以外の場所で、しかも3人で会うというのは、本当に奇跡的なこと!長女の家は次女にとって、旅の中継地点。ヨーロッパ各地で開催されるマスターコースを受講したり、気になる先生のレッスンを受けたいと思ったときなどに利用している様子。簡易キッチンで長女に料理をふるまうのが宿泊代金のようなものらしい・・・。

・・・と次女がやってきて急に始まった姉妹の会話に全然ついていけず、しばしボンヤリしていると、「あぁ、これが親離れなんだなぁ」とポンと肩の荷が下りたような気がしました。私が必死にならなくても、この二人は協力することができる。それぞれの考えを展開していきながら、お互いの領域を侵すことなく自立していける。そんな風に思うことができました。そして、私自身も別の角度から自分の世界を創っていけばよい、と思えるような瞬間でした。

親子というのは難しい関係です。家族という一番身近な存在ではあるけれど、一人の人間としての領域があります。踏み込みすぎるとお互いが窮屈に感じて反発したくなる。でも、家族という温かい存在は、誰よりもいちばん理解できて安心できる存在です。親も年を重ねて子どもに頼ることも多くなります。子どもはいつまでも親の存在を意識します。

私自身は頼りになる二人に寄りかかりすぎることなく、支えあっていくことができる関係を、これから模索していきたいです。75歳くらいになったら、頼っても良いかな・・・


3人で繰り出した先は、トルコ料理のお店。

3人とも暑さでバテそうだったので、ガッツリお肉をいただきましょう!とガツガツいただきました。

ドイツ語や英語で店員さんと話す二人をみながら、すっかり良い気分になりました。




2026/06/30
181「姉妹それぞれ・視察旅行⑤」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

次女はこの3年間を大学学士過程に在籍していました。日本で音楽高校を卒業して、半年ほど引き続き大学の単位等履修生として在籍してからスイスへ留学しました。

長女は同じく3年前に日本の音大を卒業して、ドイツの音楽大学院に入学しました。

大学在籍と大学院在籍での違い、スイスとドイツという国の違い、生活様式の違いはそれぞれ大きかったです。さらに姉妹の性格の違いも影響していたように思えます。


☆大学と大学院:大学生はほぼ毎日授業があります。講義や実技はもちろんのこと、副科ピアノ、副科ヴィオラ、室内楽やオーケストラもしっかりと単位認定に含まれます。講義は全てフランス語。3年修了時には論文を書いてそれについての口頭試問までありました。最後に卒業リサイタルを開催してすべての単位を認定されると卒業できます。卒業式はひとりひとり名前を呼ばれて同級生からの歓声と共にディレクターから卒業証書を手渡されるというもの。

ドイツの大学院は、それぞれの大学によって違いがあるのですが、長女の大学院は取得義務のある講義が多かったようです。ドイツ語もかなりのレベルを求められて試験を受けなければなりませんでした。長女は室内楽メンバーとして声を掛けられることも多く、様々な編成の室内楽を渡り歩いていました。コミュニケーション能力が高いので、オーケストラのコンミスを担当した時も、合唱を含む大編成のオーケストラをメンバーと協力しながら率いていたことも印象的でした。現代音楽に興味を持っていることで広がったコミュニティも大きな強みになったようです。プロオケのMDR(中央ドイツ放送交響楽団)で短期就労の経験もして、盛沢山すぎる3年間を過ごしています。二人とも国や学校の奨学金制度に申請をして、経済多岐な負担減もさることながら、奨学金生の利点を生かした活動をしていました。堅実で真摯な姿だと思います。海外留学は華やかでお金のかかることばかりが目立って、肝心の勉強内容がおろそかになる傾向が見受けられますが、実際の留学生活は地味で質素で、心身健やかに過ごすことの大切さを実感する時間の方が多いような気がします。


☆スイスとドイツ:スイスはEU加盟国ではないので少し独立した雰囲気があります。生活の中でもスイス独自の方法や規律があるようです。小さい国ながら、様々な言語(仏・独・伊・英)を使えるという強みや誇りを感じます。次女には「私の住む地域はフランス語が主流だから、挨拶は必ずフランス語でね。その後は英語で話してもいいから」と言われました。その土地を尊重する気持ちは大切ですね。気持ちが引き締まりました。一方ドイツは懐かしさの大きい国ではありますが、30年前の状況とは大きく違い、都市(州)が変われば雰囲気も違い興味深かったです。思わず5月に読んでいた「自由     アンゲラ・メルケル」を思い出してしまいました。


147「自由・アンゲラ・メルケル」 こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。アンゲラ・メルケルドイツの第8代連邦首相。在任2005年11月から2021年12月。ドイツ史上初の女性首相。彼女の執筆した「自由(FREIHEIT)」を読了。上下巻約800ペー...
 

☆生活:スイスは物価が高いです。ヨーロッパの中でも特に物価高なのは生活水準も高いということになるのでしょうか。人々に余裕が見えるのはそのせいかもしれません。しかしその中で暮らす留学生は仕送りが中心とはいえ、本人の金銭感覚も問われることになります。物価の高い中で生活するには知恵が必要ですし、自分が何を優先するのかを見極める目と判断力が必要になってきます。コンビニなどは存在しないので、外食を減らしてお弁当を持参したり、自炊は必須。意外とかかる交通費なども、安価なルートを調べたりといったリサーチに余念がなかったです。ユーロ圏のドイツも大きな差はありませんが、やはり節約することの大切さは同じ。お互いの国の相場を姉妹で連絡を取りながら、生活用品の購入の相談をしていたようです。


「二人ともヨーロッパだったら安心ですね」と言われても、二人の都市は列車で7時間。決して近くはないので基本的にはそれぞれが自力で何とかしなければなりません。一人暮らし一年生の二人が、3年を経てしっかりと土台を固められたのは、実家暮らしで培った「感覚」だと思います。基本的なことは、実家の生活がすべてです。各自の軌道修正は必要だったでしょうが、私の思いから大きく逸れていないことに安堵しました。




2026/06/29
180「金銭感覚・視察旅行④」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

今回の旅の目的は、娘たちの生活を視察するためでもありました。

この3年間、それぞれが頑張ってきた毎日は本当に見事なものでした。自分で調べて自分で行動し、大小の失敗をしつつも自力で立て直してコツコツと積み上げた生活。遠隔で日本から相談にのることもありましたし、アドバイスを送り続けていましたが、やはり実際に見てみなければわからないことも多かったです。生活で一番の課題は【お金】。このお金とどう向き合うか。その姿勢がすべての鍵を握るようにも思いました。大きく分けると長女は慎重派で細かいタイプ。自分なりの規律の中でやりくりするのが上手です。次女は大きく捉えて大胆なタイプ。楽天的すぎるところがあるけれど、非常に堅実です。共通することは二人とも数字に強くて節約家(うらやましい)。商品の底値をしっかり把握して、レート換算まで考えながら生活費をコントロールしています。この考え方は、夫の影響が大きいと思います。ビジネスマンとしての経済社会の仕組みを幼いころから叩き込まれ、金銭感覚がしっかりと伝えられていました。

 

  • 必要ないもの・無駄なものは買わない。
  • 購入するときはどんなに小さなものであれ必ず比較検討する。
  • 一度手に入れたものはきちんとメンテナンスして長く使う。
  • 見栄を張らない。

 

夫の買い物術は徹底していて、時にこちらが息苦しくなるときもありましたが、良いものを手入れしながら愛用する姿をとても尊敬していました。家族への愛が強すぎて、自分のものを買うことができず、家では同じTシャツと短パン、フリースに着古したデニムばかり着ていました。私たちが「もっとカッコいい洋服を着て」といっても、「誰も見ないから俺はコレで良いんだよ」と頑なに着続けていたので、無理やり新しいものを買って着せていたこともありました。後に、自分のためにショルダーバッグを買ったり「そろそろ年代的に落ち着いた感じがいいよね」とシックが装いを意識した発言を聴いたときには涙が出そうになりました。


娘たちはその姿を覚えているので、お金の使い方にはとても敏感で、慎重です。心の中に、父のまなざしをしっかり意識しているようです。

さてその中で私の役割と言えば、お金の可能性・選択肢を広げる役目かもしれません。目の前の事に全力投球するのも大切だけど、少し遠くを見渡してみることも大切。自分の可能性を今現在の事に絞るのではなく、少し先を見て将来を大きく捉えるなどの大きい視点の提供。逆に小さな生活面でのアドバイスなどを意識して伝えるようにしています。特に、日常生活での食事に関してのアイデアや、保存方法、ライフオーガナイズに倣って持ち物管理など。制限のある生活の中でも、心地よく健康に過ごせるようにサポートしています。

お金の存在は貴重であっても、それに依存することなく、適切に使っていけば心の余裕と支えになります。

お友だちとの会話でも、この金銭感覚は大切な要素となり、自分軸を形成するためには必要なことだと思います。


私もお金に関してはまだまだ勉強の余地があります。これからの年代に備えてさらに知識を深めていきたいと思っています。娘たちの生活を視察しながら自分の姿を振り返る、良い機会でした。

 


2026/06/28
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

今回訪れた街は、私のテリトリーではなく娘たちの生活する場所なので、少し事前準備が必要でした。特に次女の住むスイスは馴染みのない国。そして言語がフランス語主流の地域なのでドキドキしました。空港についても一人でなんとかホテルまで辿り着かねばならず、まずはシャトルバスがどこにつくのかわからずにウロウロ。インフォメーションで聞こうと思って「ええと、何語でしゃべるんだっけ?」とすでに頭の中がザワザワ。英語で質問して何とか聞き取って、よくよく周りを見渡せばきちんと矢印付きの案内が書いてある・・・。

はぁ。

自分の視線の低さ、視野の狭さに愕然としました。もっと上下左右の振り幅を大きくしなければ、案内板も探せない・・・。飛び込んだトイレが男性用で焦ったこともありました(もっと焦ったのは男性たちだったはず)。


娘たちには海外(主にヨーロッパ)の街に始めて行ったときには、教会の塔に上ることを勧めていました。大抵教会というものは、その街の中心に建っています。街の全部が見渡せるので地理感覚が一目瞭然でわかります。初めて家族でヨーロッパを旅した時は、ありとあらゆる教会を訪れて登れる塔には登りました。彼女たちは今でもそれを覚えていて、私には各都市の教会の位置を一番に教えてくれました。どの教会が上に登れるのか、いくらかかるのか、まで。ジュネーブの大聖堂。ローザンヌの大聖堂。ミュンヘンの教会。フランクフルトやヴュルツブルグの教会。それぞれの街の教会を訪れて、静かに座りながら深呼吸をする時間が自分の助けになりました。昨今、信者の少なくなった教会は、毎日扉を開けておくことを断念して決められた日時しか訪れることのできないようになってしまっています。でも、今回訪れた教会はどこも開いていました。ジュネーブの街はG7開催のために警備が厳しくて、高級店や高級ホテルはベニヤ板で囲われていましたが、教会だけは泰然と扉を開けていました。ローザンヌ大聖堂は丘の上にあり、教会にたどり着くまでに体力を消費しましたが、中はひんやりと涼しくて思わずほっと溜息をつきました。その他の教会内も、静かで静謐な空気が漂い、人々の安堵感があふれていました。ヴュルツブルグの聖キリアン大聖堂横の売店で長女が購入したプレイモビルのフィギュアについて、嬉々として説明してくれたおじさんは、きっと信者に違いないでしょう。ミュンヘンの聖ペーター教会では、コンサートのリハーサルが行われていて、残響の長さを懐かしく思い出しました。どの教会にもパイプオルガンやリードオルガンがあり、その形や大きさを眺めることができたのも感動でした。古くて修理ができないオルガンもあって、寄付を募っている様子もありました。パイプオルガンの音が聴けたらもっと良かったけれど・・・。

生活に密着する教会の存在は、人々の行動すら変えてしまいます。次女は自室に聞こえる教会の鐘の音で、勉強や練習の始まりを意識していたと言います。


一人で行動することも多かったこの旅で、教会の存在は私にとって大きな助けになりました。

困ったら教会に行けばいい。

懐の大きな教会の存在を改めて実感しました。