こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。
今日は楽器職人さんの工房へ行ってきました。
今年の冬はどうにも乾燥が尋常ではなく
音がガサガサしてきました。
私のヴァイオリンは長く生きているので
(270歳以上?)
ちょっとのことでは驚かないし
かなり胆の据わった楽器なので
不調を訴えてくることも少なく
頼りになる相棒なのですが
さすがにこの乾燥は可哀そうだな、と。
それでも
「がんばって~」と
騙し騙し弾いていたのですが
先週後半くらいから
私の耳が嫌がるくらい気になってきたので
思い切って楽器職人さんの予約をとりました。
乾燥するとどんな音になるのか?
これは感覚ですし
人それぞれの印象なので
明白な基準があるわけではないのですが
とにかく
「耳元でこの音をずっと聞いていられないかも」と
思うことでしょうか。
自分の音が嫌いな時は以下のような感じ。
- 練習不足で音程が合わなさ過ぎて嫌気がさす
- 外的要因(乾燥・湿気)などでうまく鳴らない
- 楽器自身が謀反を起こしていて練習をボイコットしている(そんなことあるの~?と思われるでしょうが、たまにあります。まぁ、私が真面目に練習しないから、しっかり音を出し切らないから、という要因が一番大きいと思うのですが・・・)
今回の場合は2番目の要因ですね。
楽器も生きているので、その時によって鳴っている音が違います。
何年も一緒に弾いていると、楽器個別の性格があったりするので
面白いです。
(因みに娘たちの楽器もそれぞれの個性があり
二人とも楽器に振り回されながら、または振り回しながら
試行錯誤の日々です。
二人とも若い楽器なので、演奏者と対立が多いのかも?)
楽器職人さんに
「乾燥が原因だと思うのですが、音がガサガサしているんです」
と伝えると、ササっと楽器を弾いて
「あぁ、なんだか取っ散らかっている感じですね」と。
私の言葉をちゃんと聞いてもらえて
意思が伝わるのはなんと素晴らしいことか。
私の伝え方は、そんなに専門的ではないです。
とにかく感覚を伝えるだけ。
「なんだかしっくりこない」
「ガサガサ」「のっぺらぼう」
「ジャリジャリ」「バランスが悪い」
とりあえず自分の感覚に合う言葉を
ドンドン伝えて
自分がどんな音を欲しているのかを
一生懸命伝えます。
楽器職人さんは
「フムフム」と聞きながら
「わかりました(なんとなく)」という感じです。
弓の毛替えもお願いして数時間後。
きれいにしてもらった楽器に再会して
試奏してチェックして。
自分で一生懸命伝えたことが
ちゃんと音に反映されていると
ホッとします。
楽器は自分でメンテナンスできるところが限られているので
細かいチェックは楽器職人さんにお願いします。
ミリ単位以下の調整で音がガラリと変わることもあります。
今回は我慢しなくてよかったなぁ、と
本当にホッとしました。
(そのため、他の作業が渋滞中になってしまいましたが、
それは自己責任ということで・・・)