塚本香央里 ~ヴァイオリニスト&ライフオーガナイザー~
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2025/02/28
59「毎日を見直す」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

私の冬眠時期はたいてい1月から2月。
この数年は3月も動けない時期がありましたが
自分の中では3月からは表に出ていきたい気持ちです。

冬眠と言っても
何もしないで寝ているのではなく
ひたすら下ごしらえとリサーチと準備。
新しいことへの挑戦を始めてみたりすることも。
ゴソゴソと
水面下で動いている感じです。


音楽面で言えば
新しい曲を探しながら
楽譜を調達して
音符を読んでみること、などです。
先日、久しぶりに楽譜屋さんへ行って
あれこれ楽譜を眺めてきました。
この頃は、時短のために
曲をCDで聞いたり
YouTube動画などで見て
楽譜はネットで購入
というパターンが多かったのですが
売り場の棚を眺めながら
目についた楽譜を手に取って
パラリとめくる時間も
なかなか良いものだ、と思いました。
他のお客さんが、どんな楽譜を探しているのかを
コッソリ観察するのも楽しいです。
(スーパーで隣にいる人のカゴをのぞく感じ??)


今年は元旦からブログチャレンジに参加しているので
毎日執筆することによる
日々のルーティンを見直すきっかけに
大いに役立っています。
一緒にチャレンジしている仲間のブログに
励まされたり
勉強させてもらったり
自分に合ったつながり方を選べる幸せを感じます。

年齢と共に変化する生活。

試行錯誤しながら
フィジカル面と
メンタル面のバランスを考えて
自分を大切にしながら生きていく
50代後半からの毎日。

できることなら
笑顔で過ごしたいものです。

明日から3月。
季節がググっと動き出しました。









2025/02/27
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

好きを深堀りしている今。
なぜか
「文武両道ですね」と言われることが多いのですが
勉強関係は本当にポンコツです。
運動神経だけは
持って生まれたものらしいので
自信があるのですが・・・
(3歳で体操選手にならないかと
体育大学の先生にスカウトされ
小学校3年生でテニスの選手にならないと
ドイツ人のコーチにスカウトされ
29歳で初滑りのスキーも
一応なんとなく
普通の中上級コースは滑れる。
メチャ怖くて叫んでいるときも多いけれど。
娘たちに逆上がりを伝授するときも
手本を見せられるくらいだったり
縄跳びも二重飛びは飛べた。
50メートル走も50歳で10秒くらいで走ってた。)

勉強に関しては本当にイマイチ。
小中学校で書く作文は
常に母の検閲があったので
作文コンクールで
入賞することもあったけれど
他力本願。
数学や物理、化学になると目が宙をさまよって
アタマに入ってこない。
公民、地理もイマイチだけど
歴史だけは好きだった。
(大学生の時に
NHKの市民講座【古代オリエント史】を受講して
すごく楽しかった記憶がある)

音楽の授業に関しては
「音大目指すならもっと努力しよう」なんて
成績表に書かれるくらいできなかった。
教科書に書いてあることが覚えられない・・・
娘たちが教科書通りにちゃんと覚えて
テストの点数をきちんと取っていることを
ものすごく尊敬していました。

その後も
できないことは多かったけれど
ほんの少しずつ
「できそう」
「できるかも」
「できた」
の積み重ねで
生きてきています。

へなちょこで
ポンコツ
今でも
「なにやってんだか~」って
落ち込むことも多々あります。

でも
時間をかければ何とかやっていける
という
小さな希望で生きることも
悪くないよね、と思っています。






2025/02/26
57「好きを見つけるのは、なかなか難しい」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

「好き」を見つける作業は
過去を遡ることになるので
ちょっと苦手だったりします。
私は、過去を踏み倒しながら
過去を咀嚼し尽くして
過去に蓋をして進んできたから。

楽しかったこと。
嬉しかったこと。
笑顔の思い出だけを
自分のアルバムにとどめておきたいから
蓋をした過去をもう一度のぞくのは
やっぱり苦しかったりします。

だから、
差しさわりの無いところで
妥協しているから
やっぱり中途半端になることもある。

でも
少し肩の力を抜いて
自分をもう少し緩やかに見てあげることができれば
ほんのちょっとでも
クスッと笑えることが
出てくるかもしれない・・と。

音楽家として演奏に向き合う時のように
どうしても
何かを真剣に考えるときは
思考が過集中になりがち。

何が出てくるのか?
予想もつかないことが出てきたらどうしよう・・・
自分の思考に向き合う毎日は
びっくり箱のようで
おっかなびっくり。

さて
今日は何が出てくるのかしら?


もう少し胆が据わればいいのに。


ポエムのようなブログになってしまったのは
確定申告のせいだということにしておこう




2025/02/25
56「自分の好きを見つけていく」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

「好き」という言葉は素敵だけれど
とてもハードルの高い言葉。
私は自分の「好き」ってあまりじっくり考えないから
ドギマギするだけで
そのことについて
アタマを働かせていないことが多いです。

今週は敢えて
「好き」「得意」を考えていきます。

なぜそんなことを思ったのか?
先週金曜日にリウムスマイルの
「ホム育気づきサロン」に参加して
自分のことが全然見えていないなぁ、と
残念に思ったから。

自分のことを
自分がちゃんとわかってあげていないのは
自分が気の毒だよね。





2025/02/24
55「ピアノのメンテナンス」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

冬になると悩み多き乾燥。
お肌の乾燥も気になりますね。
そして楽器の面では
ヴァイオリンはもちろんのこと
ピアノも気になります。

私は自宅にアップライトピアノがあります。
小学校5年生の時に
栃木県大田原市のショッピングモールで開催されていた
ピアノフェアで両親に買ってもらいました。
初めて自分だけが使うピアノ。
あの時の
「え?買ってもらえるの?」
という驚きと嬉しさを
今でも覚えています。

あれから40年以上・・・
栃木県から横浜の実家へ移動し
私の音楽高校・音楽大学の副科ピアノで苦楽を共にし
その後、私の結婚とマイホーム購入を機に
我が家へやってきて25年以上。
私のリハーサルや趣味程度のピアノ演奏、
娘たちの副科ピアノなどで
酷使されながらも元気に現役です。

しかし、近年の冬の乾燥・夏の暑さは異常で
楽器の踏ん張る力もギリギリといった感じ。
本来ならば、年に2回は調律をお願いしなければならないところを
今回はなんと、2年も空いてしまいました・・・

ピアノの調律師はいつも同じ方にお願いしています。
調律しない時期が長くなると、
元に戻すのに労力がかかることは承知しているので
ひたすら謝る。
「仕方ないですよ。ピアニストじゃないんですから」という言葉にホッとしつつ
「あれ?なぜかAの音はほとんど狂っていないですね~」と鍵盤をトントン。
ヴァイオリンの調弦をするAの音は
練習するときやリハーサルの時も
変に感じなかったなぁ・・・
そのほかに
自分が弾いているときに感じる鍵盤の違和感や不具合、
耳に「キン!」と刺さるような音のする鍵盤を伝えて
鍵盤のホコリやハンマーの掃除をして
調律が始まります。
約2時間の調律。

私はその間、イヤホンをして
別の部屋で
本を読んだり仕事をしています。


「乾燥がひどかったみたいですね」という調律師の言葉に
加湿器をもう少し長い時間稼働させることを勧められました。

ピアニストではないので
あまり神経質になっても仕方がないので
もう少し頻繁に調律をお願いすることが一番のようです。

楽器の管理は、それぞれの楽器や部屋の状況・使う頻度
プロ・趣味・音楽学生などによって細かく変化します。
それでも
「楽器は元気かな?」と
耳を澄ませて楽器の声を聴くことが大切です。

ヴァイオリン弾きでも、
ピアノが家にあるのであれば
メンテナンスしてあげましょう。







2025/02/23
54「選ばれる人に」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

近所を歩いていたら
ふわりと梅の花の香りが
目の前を横切りました。
春をすぐそこに感じるひと時でした。

冬の間は研修や講座受講の機会が増えます。
地域での活動関係は
子どもの虐待や犯罪に巻き込まれることに関してのことが多く
自分のことについては、
やはりビジネス構築についての講座が多いです。
全く違う分野なので関連性が薄く
それぞれを頭の中で整理するのが苦手なので
つい放置してしまう・・・
せっかく聞いた良い内容も
日々に流されてうろ覚えになって
「あれはなんていう人のなんていう講座だったか?」と
残念でもったいないことに。
(逆に言えば、時間がたっても残っていることが多ければ
自分にしっかり腑に落ちたことだということなので
より厳選されるのですが。やはりまとめる作業は
必須ですよね)


なるべく早くアウトプットするように
努力していきたいものです。

先日はリウムスマイルの穂口社長の講座を受講しました。
スモールサービス業を営む経営者を
ホームページ作成からサポートしてくださる会社。
私はお世話になって2年半くらいでしょうか。
この1年は毎月の講座に参加して
「お商売とは何か?」
「お商売のマインドをどうする?」
「自分のサービスをしっかり管理してる?」と
様々な方向から、自分の事業を見直し、点検して
試行錯誤の相談に乗っていただきながら
勉強しています。

今回のテーマ
「好き・得意・経験を入れ込んだコンセプトの言語化」
まさに今、このブログチャレンジで挑戦していることです。
あらゆる方向から自分を見直して
自分の好き・得意を小さなことでも見つけ出し
経験と技術をかけ合わせ
その一つ一つの種から
お客様に還元できることを
コツコツと実践していくこと。

穂口社長が
「これからの時代は、あなたから買いたい!と
よりパーソナルな部分から選ばれる時代になっていく」
おっしゃっていました。
その通りだと思います。
そして、お客様の審美眼はより厳しくなっていくでしょう。



私の場合は
「あなたの演奏が好き」
「あなたの音楽が聴きたい」
「あなたの話す内容が聞きたい」
そう思ってくださる聴衆を集めていくことでしょうか。

私はヴァイオリンを聞いていただくことが一番ですが
それだけではなく、豊富な経験に裏打ちされた私の演奏から
聞いてくださる方が「本物」を感じる力を育ててほしいと思っています。

そのことを知っていただくためにも
このブログをコツコツと書いていきたいと
思いを新たにした日曜日でした。




2025/02/22
53「土曜日の思い出」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

今日は土曜日の思い出のことをお話ししましょう。

私が小学校5年生の冬から卒業まで
栃木県大田原市に住んでいました。
台所の窓を開けると、那須連山が遠くに見える
穏やかな土地でした。
父の仕事の都合で、ドイツからビュッと・・・
今まで全くご縁の無かった土地での生活は
なかなか難しいものがありました。

この時一番困ったことがヴァイオリンのレッスン。
帰国してからすぐに以前の先生の所へあいさつに行くと
「東京まで通うのは遠いのでは?
仙台と東京とどちらが良いかしら?」と聞かれて
私の母は即座に「東京まで通います」と答えました。
「とにかく東京に通わないと忘れられてしまうわよ」とのこと。
たしかに、東京へのレッスンをあきらめてしまうと
先生の手から離れることになってしまう。
たとえ、父の仕事がまた東京に戻ったとしても
レッスンの先生から一度手を離れてしまったら
戻るのは大変かもしれない。
音楽高校を目指すのであれば、なおのこと・・・
その時の母の英断は、その後も我が家で語り継がれる武勇伝でしたが
当時の私にはぼんやりして理解していたかどうか。

と言いつつも、なにしろ東京は遠い・・・
当時、東北新幹線が開通していなかったので
「特急はつかり」に乗って上野へ行き
帰りは上野発の各駅停車で帰ってきた記憶があります。
(当時は東北本線が上野止まりだった)
往復5時間近くでしょうか。
20時13分上野発の列車を逃すと、その日のうちに家に帰れない・・・
もちろん、平日にレッスンに行く時間はないので
必然的に週末になります。
私のレッスンは毎週土曜日の夕方に設定されました。

当時の小学校は土曜日も半日授業がありました。
午前授業を終えて帰宅すると
母が「さ、早く食べて」とお昼ご飯を手早く済ませると
着替えて靴下を取り換えて
ヴァイオリンと楽譜カバンをもって家を出ると
父が車でスタンバイしています。
父が西那須野駅まで送ってくれて電車に乗り込み
乗り換えながら上野まで。
先生のお宅は目黒でした。
レッスンは16時か17時から。
きっかり1時間のレッスンを終えて、
時間のある時は目黒駅の喫茶店で
ケーキを食べさせてもらって
(母はいつもレモンスカッシュだった)
上野まで急ぎます。
夕食はキオスクで買った駅弁。
牛丼弁当が好きでした。
通勤電車のようなぎゅうぎゅうの列車内で
駅弁を食べると
ちょっと恥ずかしかったです。
食べるとウトウト眠くなってきて
23時頃に駅に到着すると、父が迎えてくれます。
ほとんど(疲れて)無言のまま帰宅して
布団に潜り込む・・・

そんな生活が1年続いたところで
父を置いて母と二人で横浜へ帰ってきました。
「音楽高校に行くなら、ピアノとソルフェージュを始めなきゃ」
という先生の鶴の一声で母が決断し
地元の中学で着るはずだった制服を
翌日にはキャンセルしていました。


あの栃木から東京へのレッスン通いは
私の中でも今なお、印象的に残っています。
母と二人で列車に乗って出かけるウキウキした感覚。
1時間のレッスンで詰め込まれた刺激と、
他の生徒のレベルの高さに打ちのめされる日々。
ご褒美のケーキの味。
帰りの列車で話しかけられる東北の言葉。
大変だったはずなのに
楽しかったな、という記憶にすり替わっています。

あの頃、小学生も夕方5時くらいまでクラブ活動があったり
(バレーボール部にスカウトされて入部したり
合唱部でNHK合唱コンクールの群大会に出場したことがありましたね。
そのほか、ブラスバンド部でコントラバスをあてがわれたけれど
さすがに弾けなくてアコーディオンを担当していた時もあったなぁ。
夏休みに水泳部に入ることになって大会も決まっていたのに
ヴァイオリンの講習会が重なってあきらめたり・・・)
アレコレ引っ張り出されて、色々なことをしていました。
練習時間がないのに、夕方遅くまで活動をして
帰宅してからカップラーメンをおやつに
ヴァイオリンの練習をコソコソとこなして
夕食の後はちょこっと宿題をこなして寝る。
全然練習時間は足りてなかった・・・

でも、
ヴァイオリンだけを弾いていたわけではないからこそ
私の軸になっている芯の部分は
彩り豊かだと自信を持って言えます。

そしてあの時
いつも父に従順で
それほど意見を押し出すことのなかった母の
大きな決断の連続に
母の底力をひしひしと感じたものでした。





2025/02/21
52「閑話休題・報告文を書いてみる」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

このブログは100チャレンジを目指しながら
私自身も自分に課したチャレンジをしています。
このブログは音楽のことが中心ですが
今日の投稿は少しイレギュラーに。

午前中に私の2つ目の軸である、ライフオーガナイザー協会の講座を受講したので
その報告書を書いてみました。

毎月一回、ライフオーガナイザー協会員を対象に開講されるJALOカレッジ講座が、今月も開催されました。
今回の講座テーマは「LOのための実践集客ガイド」。講師は協会の高原真由美代表。いつも以上にテンポ良く進み3時間があっという間でした。以下、私が特に印象の残った部分を備忘録として書いておこうと思います。

講座は「集客の前に自分がライフオーガナイザーとしての土台がしっかりしているか」という問いからスタートしました。

自身を振り返る中で「収入面の数字化」ができていない点を反省し、より細かな生活の記録を取る必要性を感じました。

次に扱われたのは、ブランディングポジショニングについてです。

「自分はどんなイメージで進むのか」「市場の中でどのような立ち位置を目指すのか」を考える重要性が強調されました。

加えて、どのようなツールを使って情報を発信していくかについての具体的な方法も学びました。

私自身は「思考」についての講座やサポートを目指したいと思っているのですが「伝わりにくい」部分が多いという欠点をより意識する必要があると感じました。

また、今回特に知りたかったライフオーガナイザーの仕事をする上での「導線」に関する内容についてもしっかりとメモを取りました。

講義中に高原さんがおっしゃった

「自分が満足するものなんて永遠に出来上がらない。まずは出してみて、さまざまなフィードバックをもらいながら修正していくもの。出したものがないとブラッシュアップはできない」という言葉が心に残り、まさにその通りだと改めて実感しました。

この1年間さまざまな時期と場所で、こういった課題を学んでいますが、アタマの回転がなかなかうまく働かないので、何度でも聞いて咀嚼をしたいと思っています。

今回はさらに、講座を受講する際のメモノートの取り方を工夫してみました。

ノート1ページの3分の1を自分へのメモ部分として、質問したいこと、その時閃いたアイデアなどを書いてみました。

どんな話を聞いたときに疑問に思ったのか?どんなきっかけで自分のアイデアが浮かんだのか?それらを講義内容メモの横に書くことによって、内容と連動してとても見やすく、講座内容もすっきり頭に入ってきました。

今更ながら、講座受講の姿勢も大切なことだなぁと思いました。




  • 報告分を書く
  • ChatGPTを使ってみる
今回はこの2つにチャレンジしてみました。 
エッセイなどは、あまり悩まず書けるのですが報告文は苦手です。
でも、これからはちょっとずつでも苦手を克服していきたいです。
自分の可能性を広げてあげるために。
良い機会なので利用してみました。
ChatGPTに報告文の骨組みを自分で書き出して、まとめてもらい、修正して文章を仕上げる。
「ほぉぉぉ・・」と感心しました。
こういう使い方はおもしろいなぁ、と。
最初から自分で書くのは至難の業ですが、少しでも足がかりがあると楽です。
特に私はアレンジが得意なので、自分流に仕上げるのは簡単です。

出来上がったものを
さて、どこに出そうかしら?

まずは自分の場所に発表してみました。
次の課題は、見出しを強調したりすること。

少しずつでもいいじゃない?
できるようになったら嬉しい。

練習・練習。






2025/02/20
51「暗譜は目を開く?目を閉じる?」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

暗譜の話のつづき・・・
私のように、かなり作り込んで暗譜をする方法もありますが
他にもいろいろありますよ。
  • とにかく弾きまくって覚える→ちょっと時間がかかりますが、確実な方法です。体育会系のイメージですね。
  • その曲のイメージを絵にかいて覚える→小さいお子さん向けですが、自分のイメージがしっかりしているとすんなり覚えることができます。
  • 歌って覚える→これも短い曲を暗譜するお子さん向けですが、大人の生徒さんにもとても有効です。私も時々鼻歌を歌いながらフレーズを覚えているときがあります。
  • 弓を使わないで左手だけ動かして弾く練習→左手の動きに集中することによって、目視で音を記憶しているということにつながる。

暗譜で演奏するときに、目を閉じて弾いている演奏家と、目を開いて左手に集中して弾いている演奏家がいます。
私自身は目を閉じているほうが多いのですが、できれば目を開いて演奏するように勧めています。
しっかりと左手に集中することによって、確実さが増し、自信がつくからです。

暗譜ひとつでも
人それぞれ。
自分に合った方法をみつけるのは
自分だけの力では難しいです。

自分にはどんな特性があるのかな?
どんな方法があっているのかな?
どの方法が好きかな?

先生と共に
相談しながら
一緒に考えながら
レッスンを進めていくことができれば
ヴァイオリンを弾くだけではなく
生活していくうえでの
様々なことにも応用が利くのではないかと思います。








2025/02/19
50「楽譜を見ないで演奏するって大変だけど」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

楽器を演奏するとき
コンサートや
発表会などでは「暗譜」が基本です。

暗譜=楽譜を見ない

演奏家にとって楽譜を見ないで楽器を演奏することは
必須条件です。
オーケストラをバックにソリストとして弾く場合や
ヴァイオリンだけで一人で演奏するときなど
暗譜が必要です。

ただし
絶対ではありません。

現代曲など、直前まで作曲家と協議しながらの初演や
室内楽での演奏
まぁ、
なんなら、
いつも楽譜を見て弾いてもいいんですよ・・・

でも、
私の場合は
「やっぱりこの曲は暗譜よね・・」っていう曲もあるので
暗譜の訓練はします。
(ヴァイオリン独奏で弾く時は
なるべく楽譜を見たくないです。
その方がカッコイイから!)

生徒さんには
これも訓練なので
よほどのことがない限り
暗譜の練習もしてもらいます。

特に子どもの生徒さんは
しっかり訓練します。
その練習が他のことにも役立つからです。

大人の生徒さんには強要はしませんが
難しい場所などは
「この部分だけ暗譜しちゃいましょう!」
お伝えします。
その方が、すんなりと弾けることも多いからです。
(視覚が楽譜をみるという作業を放置することによって
左手と右手を目視して集中して弾くことができる)


暗譜にはさまざまな方法があるのですが
私は
「頭の中の楽譜をめくっていくように」
暗譜していきます。

曲の構成(ブロック)を頭に入れて
その区切りが楽譜のどのあたりに書かれているのか
確認します。
(たとえばABAなのかABCAなのかAA'BB'CC'なのか・・・など)
同じような繰り返しだけど
ちょっと変更部分があるところを
念入りにチェックして
その場所が何ページ目の何段目なのか確認します。

覚えにくいなぁ、と思うところ
(もしくは速いテンポで音のたくさんある場所)
から暗譜を始めて
何回も出てくるフレーズは
その場所が他にどこに書いてあるのか
番号をつけてチェックします。

ここまで来たら
あとは頭の中の楽譜を頼りに
練習するのみ。
アナログ方式かもしれませんが
自分の脳は、自分のやり方で
操縦するしかないのです。

そのうち
指や身体に曲が染みついて
無意識に指が動くようになってきます。
(その無意識が怖いから注意が必要なんですが)

最初から音をひとつずつ覚えていくのではなく
かたまり(ブロック)で覚えていくことが大切です。
この方法は自分で考えて習得しました。


生徒さんは曲が仕上がってきてから
暗譜の練習になるまで
少し時間がかかります。
どのくらい頭の中に楽譜をきちんと保存しているか?
私からのチェックが厳しいからです。
曲の構成は?
和音の変わるところは?
音の大きさが変化するところは?
音が変わる場所は?
???

中途半端で暗譜を開始すると
余計な時間がかかることもあります。
(私がアレコレ諮問をすることは
意地悪をしているわけじゃないんですからね)
説得力のある演奏をしてもらいたいから
細かいところにこだわります。

暗譜ができるようになると
自由になってきます。
自分が表現したいことを
色々と試してみることが楽しくなります。
音楽が色彩豊かに
より演奏者に近づいていく感じになっていきます。
そうなれば
もうこちらのもの。
本番を楽しむ、という域に達してきます。



ただ
最近の私は
記憶力の低下ととに
楽譜を見て演奏したい欲が高まります・・・
やはり、安心ですから。
暗譜に失敗して
どこを弾いているのかわからなくなり
頭が真っ白になって
演奏が止まってしまったらどうしよう・・・💦
(そんな経験は今までにありませんが・・・)


それでも、敢えて暗譜の道を選んで
四苦八苦して自分を苦しめることもあります。
本番前は心臓が口から出てきそうなほど
緊張しますが・・・
人生、チャレンジ。



ううむ。
しかし
いつまで暗譜で弾けるかしら~・・・








2025/02/18
49「楽譜を目で追う練習」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

「先生、練習する時間がありません💦」

う~ん、困りましたね。

「仕事が忙しくて時間がないです。」
「定期テストが近くて勉強時間しか取れません。」
練習できない理由はいろいろありますよね。
でも、あきらめなくても大丈夫ですよ。

私はヴァイオリンの初心者さんには
「楽譜を目で追う練習をしましょう」とお伝えしています。

ヴァイオリンを弾くには
本当にたくさんのことを考えて
弾くという動作につなげていかなければなりません。

音符を目で追いながら
左手の指番号と音があっているかを確かめて
右手の運弓記号を確認して動かす・・・
この音はつなげるんだっけ?
どんな音量で弾きなさいって書いてあるの?
でも、そもそも楽器を構えている姿勢はこれであってるの・・?

なんてことになったら

「ひー、私は、なにをしてるんだか、わからん」状態。

そうなると

弾けない~
できない~
つまんない~
やめる~

という道順を辿るのは目に見えています。

でも、ちょっと待って。

せっかくヴァイオリンという楽器を選んでくれたのに
混乱したままで終わらせてしまうのは
とてももったいないです。


私のレッスンでは
希望があれば
生徒さんに合ったテンポで演奏した動画を
お渡ししています。(完全オーダーメイド)
それを聞きながら、見ながら
自分の楽譜を開いて
音を目で追う練習
私はとても有効な練習方法だと思っています。


ヴァイオリンを弾くだけの練習ではなく
目で音符を追う練習。
楽譜のどこを見れば、どの音が鳴っているのかを
あらかじめ確認しておく。
どのフレーズが楽譜のどの辺りに書いてあるのかを
記憶していく。
そうすることで、楽譜が曲の地図のように
自分の演奏を導いてくれます。

ひとつでも「少し余裕がある!」と思えるものがあれば
他のことが頑張れますよね。

ヴァイオリンを弾くことができなくても
ヴァイオリンのことから離れてしまわないこと。

それがとても大切なことだと思います。

目で楽譜を追う、ということは
後に「楽譜を暗譜する」という工程で
とても役に立ちます。

そのお話はまた次回に。





2025/02/17
48「ヴァイオリンを弾くことは哲学?」  
こんにちは。ヴァイオリニストの(つかもとかおり)です。

ヴァイオリンを弾くことは
反射神経や運動神経が大いに関係しています。
  1. 目で楽譜を認知し
  2. 脳が素早く
  3. 的確な位置に指を動かす指示を出し
  4. 耳が瞬時に音程をキャッチして
  5. 微調整し
  6. 記憶にある自分の音を探し出して
  7. 音楽を創っていく
もっと細かく細分化することもできますが
一音弾くだけのことに
最低限
これだけのことを詰め込みます。

音楽は消えていく芸術です。

私たち音楽家は
その一瞬一瞬に込めた音を
誰かに届くことを願って演奏します。
その思いが
自分とかけ離れたものにならないよう
計画して準備して
本番で演奏するときは
運動神経をフル活用・・・

ただ、それに至るまでに
黙々と練習をしています。
反射神経と運動神経が最大限に活かされるのは
意識的から無意識へ
思考を移行することが重要になってくるからです。

レッスンでは
ヴァイオリンを弾くだけではなく
思考の整理も含めて
ご自分の意識改革に役立つことも
お伝えしています。










2025/02/16
47「100本のチャレンジをすること」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

毎日投稿をがんばっています。
タイトルの横に出てくる数字は
100までの道のり。
今年の1月1日からはじめて
ほぼ半分まできました。
独りだったら
とっくに挫折しています・・・

私、飽きっぽいので
(DoctorX風に)

では
なぜ、続いているのか?

  • 一緒に頑張っている人がいるから
  • HP運営会社の社長が毎日コメントをくれるから

コミュニティって大切ですね。
今までこういった輪の中に入るのが苦手でした。
音楽家が遠い存在のように思われて
話しかけてもらえないし
私もどうやってコミュニケーション取ればよいのかわからず・・・

結局ひとりで右往左往しながら
中途半端なところでウロウロしていました。

でも、思い切って輪の中に入れてもらって
わからないことを聞いたり
講義を聞いたり
自分で勉強したり
今まですっ飛ばしてきた
自分の苦手な部分を補填する技術を
ポンと教えてもらえることに
とても感謝しています。

一緒に100までのチャレンジをしている方の
ブログを読みに行くと
「なるほど」と思ったり
「わぁ、知らなかった~」とびっくりしたり
「おぉ、同じことを考えてる!」と
自分の執筆のヒントをたくさんもらうことができます。

忙しいHPの社長さんからのコメントは
ひとことチラッと書いてくださるのですが
ものすごく励みになります。
(全員分を読んでコメントしているのですから、すごすぎる・・・尊敬)

このチャレンジの良いところは
自分でペースを決められるところ。
別に毎日書かなくても
ひとつも書けなくてもOKというところ。
みなさん、ご自分で決めたペースで書きながら
「こんなの書いてみましたよ~」と
共通の場所で表明するだけ。

私はちょっと欲張って「毎日」を目指しています。
だから
「いいもの書けた!」と思うときもあるし
「おぉ、不完全燃焼だ!」ということもあります。

そう、
ヴァイオリンの練習も同じだな、と思います。
「おぉ、今日の練習はなかなかうまくいったぞ」と思う時と
「ハイ、今日はグダグダで非生産的な時間の無駄でした」と
投げ出すときとありますからね。

でも、愚直に続けること。
それだけで良いと思っています。
(でも、もう少し頑張れ自分・・と自分を応援したい)



2025/02/15
46「春の始動へ向けて整えています」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

立春を過ぎてもなお
寒さが厳しい日が続きますが
確実に春へと季節が進んでいるのを感じます。

朝焼けの美しい時間が
日増しに早くなり
スイスにいる次女と話しているうちに
すっかり明るくなります。

そして夕方。
夕闇の迫る頃が
徐々に遅くなって
夕食の準備を慌ててしないと
夜の時間が短くなってしまいます。
夕食を食べながらドイツの長女と
気楽なおしゃべりを。

2月も後半になると
そろそろ私も仕込みを終えて
動き出さなければなりません。
現実逃避生活もそろそろ終わり。

頭の中で鳴っている音楽を
外に向けて
発信していかなければ・・・

小さなコンサートから
大きなコンサートまで

また皆さんにお会いできることを
楽しみにしています。





2025/02/14
45「音楽家と言葉」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

音楽家は音で曲を表現するので
どちらかというと言葉をおざなりにしがちです。

「表現するのが難しいけれど・・・」
「言葉にできないから、こんな感じ・・・」
「なんとなく、こんな風に・・・」

私もピアニストに細かいニュアンスを伝えるときに
曖昧な言葉で逃げてしまう時があります。
また「とにかく弾いてみましょう・・・」と
時間を気にして次のステップへ行ってしまう時もあります。
でも、
近頃は、なるべく少しでも何かが伝わるように
言葉をかえてみたり
例を挙げてみたり
反対方向から伝えてみたり、と
意識的に言葉を使うようにしています。

急がば回れ

じっくり伝えた方が
相手が「あぁ、なるほど」と
充分に理解することができたり
納得することができたり
腑に落ちるということができているように感じます。

伝えるときに
自分の思っているぴったりの言葉を
選び取ることの大切さ。

それは日本語だからできることかもしれません。
日本語は素晴らしい言語だと思います。
何かを説明するにも
多様な言葉が存在します。

英語やドイツ語は
ひとつの事柄に対しての単語の数は
そう多くありません。
どちらかといえば
直接的で
簡潔で
ひとつの言葉が
どのシチュエーションでも
使いまわすことができます。
(私はそれで助けられています💦)
英語もドイツ語も
ストレートに伝えたいことを言ったり
わからないことを質問することができるからです。

・・ラクです・・

でも、日本語にある様々な
ニュアンス
言い回し
陰に隠れた真意(を、ぼかすテクニック)
ひっかけ問題的な言葉のあや・・・

などを使い分けることの
楽しさや難しさは
母国語だからできることです。
そのひとさじの言葉の塩梅(あんばいって日本語らしいなぁ)を
意識的に使いこなすことができるのなら
音楽を奏でることも
もっともっと、ずっと奥深いものになっていくのではないかと思います。

子どもの生徒さんには
「読み聞かせをしてもらったり、自分で本を読んでみましょう」と
声掛けをします。
大人の生徒さんにも
「時間がないことは重々承知していますが、本を読むクセをつけましょう」と
お勧めしています。

私自身も、様々なジャンルの本を
楽しく(時間がなくて苦しく・・・)読んでいます。

週末に、本屋さんに行って本を選んでみませんか?


2025/02/13
44「習い事に思うこと:娘たちの場合」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

習い事の場所は、サードプレイスにもなる

我が家の場合をお話ししましょう。

私は自分の子育てに自信が無かったので
周りの人を巻き込んでいこうと決めていました。
夫はもちろんのこと
実父、サポートシステム、ママ友
そして、習い事の場所も大切でした。

長女は英語と乗馬とヨットの習い事を経験しています。
どれも自分で選びました。
楽しく学び、それなりに身についているようです。
小学生の時にスイミングスクールに短期講習だけ何回か通い
4泳法を取得したのは、運動神経が良かったからかもしれません。

次女は幼稚園の頃からスイミングスクールに通い
小学校2年生から選手コース。
合宿や大会の日程をこなしながら、乗馬に通い
ヴァイオリンを細々と続けていました。

彼女たちはそれぞれの場所で
それぞれの指導者から
それぞれの友達とともに学び
それぞれに確かな
自分の居場所がありました。
どこかの場所でトラブルがあっても
他の場所に逃げ道があり
たとえ何かにつまずいたとしても
どこかの場所が癒してくれるように
「世の中にはいろんな人がいる」ということを
幼いころから知る機会が多かったように思います。

そのため
人を見る目はかなりシビア・・・
自分に危害を与えそうな人を敏感に感じ取って
距離をおくことができます。
だからといって
安心できる人にどっぷり寄りかかることもありません。
それって、とても大切なことなんですよね。

私が彼女たちに伝えたことは、
「世の中にはいろんな人がいるよ」
「すぐにジャッジしないで少し考えよう」
「先生、というのは腐っても先生。
なぜなら、先生と言われるくらい
専門知識を勉強した人だから」

合わない習い事、先生というのは苦痛なものです。
でも、すぐにあきらめてしまわないで
少し様子を見ることも大切です。
ほんの少しの辛抱で、得ることは2倍にも3倍にもなります。
でも、それ以上の我慢は不要。
見極めるところは親の出番だと思います。

冷静に子どもを見る目。
なかなかできませんが
そういう訓練をすることも
大切なことかもしれませんね。

子育てって自分育て。
色々学んでいます(現在進行形💦)




2025/02/12
43「ヴァイオリンを習うことはサードプレイスを得ることでもある」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

先日読んだ本の中に
【家庭は牢獄にもなりうる】という一文を見て
ドキリとしました。
親と子どもだけの家庭。
忙しくて時間に追われる親。
実家が遠くて助けを求められない。
地域なんてよく知らない。
子どもが少し気難しいのでお友だちと一緒に遊べない。
出かけると騒ぐ子どもを連れて出かけられない・・・


孤立した親子だけの家庭では
子どもは親の価値観しか知ることができない。
世の中には様々な意見があり
対立と協調を繰り返しながら
自分を知り
自分を表現していく過程を
親だけの意見で育っていくことの危うさ。

そこに習い事という選択肢を持ってほしいと思います。
家庭でもない、集団でカリキュラムをこなす場所でもない
専門家の先生のいる場所。
ひとつのことに没頭できる時間が
1時間でもあれば
ホッとひと時息を抜くことができます。
家に帰っても、その習い事を復習する時間があれば
凝り固まった考えをほぐすことができます。
没頭することによって
逆に他の考えを受け入れる、
気づきになることもあります。
習い事の場所が、安全安心な場所であれば
子どもにとって、ひとつ居場所が増え
考えの幅が広がり
行動に自信がもてるということです。

私のレッスンは、どちらかと言えば厳しくて
最初のうちは決めごとがたくさんあって
面倒だと思うことがあるかもしれません。
でも、その期間を通り過ぎた時に
気がつくことがあります。
「この先生に何を言っても
この場所は安全だから外に漏れることはないんだ」
「この場所に来て自分の考えを言っても
否定されない、意見を言う時間がある」
そう思ってもらえる場所です。

習い事は自分の能力を高めることだけではありません。
ひたすら自分の身体を動かす
動物と協同する
自然のなかに溶け込む
そんな習い事も良いでしょう。

その場所が
自分の逃げ場所になるのであれば
習い事も
大きな役割を担うことになります。

サードプレイス

子どもだけではない
大人にも必要なことでもあります。

そんな目で
「ヴァイオリンを習う」ということを
考えてみてはいかがでしょうか?







2025/02/11
42「ビールもヴァイオリンも練習」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

ドイツに留学していたころの話。

クラスコンサートの打ち上げで
炭酸入りミネラルウォーターを飲んでいた私に
ドイツ人のヴァイオリンの師匠が

「いいか、カオリ。
ビールを飲むのは練習だ。
練習すれば
呑み方を覚えるんだ。
たくさん飲んで
色々呑んで
好きなビールを探すんだ!」

あまりビールには興味のなかった私ですが
その言葉はなぜか
とても素直に頭にスッとはいってきました。

ビールを飲むのも練習かぁ。

各地の様々なビールを飲むことを覚え
造り酒屋さんの美味しいビールを飲み
かなりたくさん、楽しく飲めるようになりました。

ドイツのビールはそれほど冷えていませんが
樽から直接注がれたビールは新鮮で
ゴクゴクと飲めます。
(大体1杯が200㎖くらい)
ミネラルウォーターより安い値段なので
カラリと乾燥した空気に
ビールはとてもおいしく感じます。

5月からの季節は
昼間に
外のテーブルで立ち飲みするのが最高。
レッスン帰りに友人と
一杯飲んで帰る、なんてことも。



よく考えたら
ヴァイオリンの練習も同じだな・・と
後になって思いました。

たくさん練習して
いろいろ試して
自分の音楽をみつけるんだ!!

さすが師匠。
そういうことなんだ、と納得。

今はたくさん飲めなくなった
缶ビールを片手に
「師匠はどうしているのかな」と
ドイツに思いをはせる夜。






2025/02/10
41「いろいろなコンサート」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

自分の演奏で心に残るコンサートというのがいくつかあります。
若かった時のヒリヒリするような緊張感のあるコンサート。
体調が悪くて辛かったコンサート。
ちょっとクセの強いコンサート。
今日は、日本酒の醸造所でのコンサート。
クセ強めの思い出です。

梅雨の時期ではあるものの
七夕コンサート(7月7日)に出演してほしいと言われて
楽しみに伺った醸造所。
ほぼ野外的な会場だったので
ピアニストと相談して
音が遠くまで響くように調整。
(アップライトピアノの鍵盤下の板を外して
音が大きく鳴るようにしました)
ヴァイオリンは演奏する場所で変化するため
お客様の入りを見て本番中に探るようにしました。
リハーサルをしていると、客席の準備が進んでいきます。

ビール瓶ケースをさかさまにして、
その上に座布団をのっけて
客席の出来上がり。
その数300くらい。
ふと目線を上げると大きな投光器。
その横に屋外用大型扇風機も用意されています。
「こんなに人が集まるのかしら?」
と思いつつも、本番時間が迫ってきたら
続々と近所の方がいらっしゃいました。
毎年楽しみにされているお客様。
醸造所のお得意さんもたくさんいらっしゃるようです。

梅雨時期特有の湿気と
お客様の体温で
会場の熱気は始まる前からムンムン。
毎年開催されるので
お客様も慣れた様子で、みなさん笑顔。
舞台としてつくられた場所も
そう頑丈ではないので演奏するたびに少し揺れます。
演奏の熱気とともに
お客様の前のめりな姿勢にも熱を帯びてきます。
ピアニストも楽しく演奏で会話してきます。
しかし暑い・・・
尋常ではない汗をかきながら
とにかく弾きまくる。
ふとみると、投光器のとなりの大型扇風機が回っています。
でも、全然風が届かない・・・
暑いよ~・・・

演奏後は3㌔くらい痩せたような気分でした。
あんなに汗をかいたコンサートは
後にも先にもあの時くらいでしょうか。
喜んでいただけて何よりでしたが
とにかく汗でドレスはヨレヨレ。
メイクも汗で流れ去り・・・

「楽しかった!」「よかったわ!」というお声をいただき
日本酒と奈良漬をいただいて
帰り道は抜け殻のようでした。


ここだけの話。
演奏途中に大量の汗でヌーブラが落ちそうになって焦り
演奏後に舞台袖の控室近くにあった洗面所に
ヌーブラを投げ捨てて
アンコールは
ノーブラで弾いたという・・・
「もう、笑いが止まらなくて困ったわよ~」と
ピアニストにあきれられた楽しい思い出。




2025/02/09
40「音楽家は美味しいものが好き?」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

音楽家は美味しいものが好きです。
そういうと、ものすごく美食家で
横文字のフランス料理をスラスラと唱えて
ワインは有名な銘柄のものを注文し
器も凝って、気取って食べている・・・
そういうイメージを持たれるような(持たないような・・・?)


私自身は【おうち居酒屋】が大好きです。
たとえば・・・
週末の夕方17時頃から
柿の種とナッツを並べてビールを少し。
その後は1本1000前後だけどなかなか美味しいワインを
グラスに注いで夕食の準備。
クラッカーとチーズを食べすぎ注意!と用心しながら、
小松菜のお浸しができたらつまむ。
ロメインレタスにはレモン汁とマヨネーズとパルメザンチーズに
たっぷりとチューブニンニクとお醤油をちょろりと垂らして
なんちゃってシーザーサラダ。
安売りだったステーキ肉を年季の入ったWAGNERフライパンで焼いて
醤油と山葵のソースにつけて食べればメイン。
このあたりでお口直しにキリリと冷えた辛口の日本酒を少し。
腹具合が足りなければ炊きたてごはんと納豆をほくほく食べて完了。
場所を移して食後のデザートは
エスプレッソと奮発したリンツのダークチョコレートで充分。
後片付けをしながらウイスキーをちびりと飲んで
ごちそうの時間は22時ごろ終了。



春は菜の花のお浸しが最高。
夏になれば薬味たっぷりの冷ややっこ。
秋は我流の簡単ナスの煮びたし。
冬のメインは豆腐と豚の薄切り肉とネギいっぱいの鍋。

季節によって変化する食卓は
味覚をしっかり育てると思っています。
料理研究家ではないので
専門的なことは言えませんが
スーパーに並んでいる食材で充分に
季節を感じることができます。

我が家の娘たちは外食も好きだけれど
家のごはんも大好きで
長女は私の作るラザニアが好き。
別に大したことないレシピなのだが
きっと、良い思い出がたくさん詰まっているのだろう。
(誕生日にリクエストされる)
次女は「やっぱりごはんと納豆って最強よね」と
満々の笑みで食べている。

実家で食べた食事の記憶って
いつまでも残るものだから
私は私なりに食事は大切にしてきたつもりです。
忙しくてお惣菜に頼ったこともあるし
外食を楽しんだこともたくさんありましたが
友だち家族との集まりはお互いの家で
持ち寄り料理を楽しんだり
ママ友ランチも自宅でのんびり時間を気にしないで
一緒に食べたりしました。
そのどれも、気負ったものではなく
いつも自分で作り慣れているものが基本。

味覚の記憶が音楽に関係するの?

音楽って、全ての感覚を総動員して創るものだと思っています。
味覚も然り。

素朴な食材から高級品まで。
同じ食材を食べても異なる感覚。
その時の食事をした気持ちから記憶に残るもの。

私が亡き母と干し芋をストーブで温めながら
交わした会話は他愛のない学校での話だったかもしれないけれど
ほっこりした安心する記憶として私の中に残っていて
何かの拍子に音楽を再現するときにひょっこり顔を出す。

そんな風に
私のごはんも音楽も
娘たちや誰かの記憶に残ってもらえるといいなぁと
心から思っています。








2025/02/08
39「脳を休ませることの大切さ」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

時々、音に敏感になるときがあります。
町に出ると、様々な音があふれています。
電車に乗るときの発車ベル。
コンビニに入るときのドア付近。
デパート内に流れる音楽。

どうしても
無意識に何の音か探ってしまったり
知っている曲だと
テンポや楽器の編成が気になってしまったり
常に聞こえてくる音を追っている感じです。
ある種の職業病とでもいうのでしょうか。

音楽高校に入学してすぐに
音楽理論の先生から
「君たちはこれから無意識に音を聞くことはない。
どんな音も耳がキャッチして
曲の内容を分析をするようになるよ。」と言われて
それまで自分が楽しんでいた「ながら聴き」ができなくなるなんて
ありえない・・・と思ったものです。
その先生の予言は、かなり早い時期に本当のこととなりました。

その後は聞こえてくる音や音楽が気になって
友だちとのおしゃべりの内容を忘れることもあります。
娘たちとお茶を飲んでいて
ふと無言になってBGMに耳を傾けて
同時に
「この曲なんだっけ?」
「○○じゃない?」と
会話と関係のない話に続いていくこともあります。


先日、本屋さんに言ったとき
クラシック音楽が流れていて
本を選ぶより音楽に耳が囚われて
集中できなくて困りました。


私の場合は、少し気落ちしているときに
音に敏感になるようです。
神経が尖る・・・というのでしょうか。
拾わなくてもよい音を
わざわざ自分の頭に入れて
ああでもない
こうでもない、と
余計なことを考えてしまうことがあります。

つい最近
頭の中の音楽が邪魔で
睡眠まで侵食してくるようになって
どうしようかと思ったことがありました。

そこで、音楽ではなく自然の音を聞くのが良いかと思い
探してみるとたくさんありました。
鳥のさえずり、焚火の音、波の音、川のせせらぎ。
個人的に森の映像と鳥のさえずりを選んで
ぼんやりみているとだんだん神経が落ち着いてくるのを感じました。

デフォルトモードネットワーク

どこにも注意が向いていない
興味関心すらストップして
ぼんやりとしている状態。
脳を休ませるために
こういうことも必要なことなんだな、と
改めて思いました。

現実逃避にも役立つなぁ・・・と
余計なことも思ったりして。



2025/02/07
38「姉妹:私の場合」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

私には姉がいます。

5歳半(6学年)違うので

幼い頃はまるっきり相手にしてもらえませんでした。

喧嘩なんて、一方的に私が挑んでいるだけで

姉はずっと知らん顔してました。


勉強家で真面目。

時々ポロリと面白いことを言うけれど

周りの人が気がつかないこともあったりして

近くにいる人だけが笑っている。

運動神経もそこそこあって

直線を走るのはものすごく速いのに

障害物競走になると途端に

あれ?どこ行きました???・・・


両親も姉への信頼は絶大で

期待も大きかったです。

「お姉ちゃんなんだから」

「しっかり勉強しなさい」

今の時代ではNG表現のことを

当然のように言われていたな、と。

私の分まで怒られていることもありました・・・

(次女あるあるの要領の良さで)


姉は語学の才能があり

ドイツ語・英語は問題なく話せて

フランス語も「なんとなくわかる」らしいです。


独立心の強い姉は、17歳の時にドイツの音楽大学に入り

独り暮らしをしながら

生徒を教える音楽教室の先生にもなり

学士過程、修士課程を終えて

コンサートピアニストという称号を得ました。

もちろん、途中で体調を崩したり、

家族にとっては意味不明なこともしていました。

若さあるあるでしょうか。


だから、私たち姉妹が一緒に暮らした時間は

11年に満たないくらいのもの。

「ひとりっこ」が2人いるような感じでした。


彼女の得意とするのはピアノ教育。

演奏家として舞台に出るというより教育者として

生徒さんを指導することに喜びを感じていました。

日本に帰国してからも、指導者としての仕事中心でしたが

50代半ばで病気から失明し、盲目となりピアノを辞めました。

自宅からピアノを運び出す日

私も一緒にピアノを見送りました。

彼女の音楽家人生の終わりでした。

それからのち

白杖歩行訓練や点字練習、安全に生活をするための

新しい生活様式を学び

長く長く、苦しい時間を経て、

彼女は今、点字教室の指導をしています。

「やっぱり教えることが好きなの。

生徒さんにいろんな可能性を伝えることに燃えるのよ!

アレコレおせっかいなのよ、私」と話す姉はいつも生き生きしています。

↓姉のポッドキャスト


https://podcasts.apple.com/jp/podcast/%E8%A6%96%E8%A6%9A%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E8%80%85%E3%82%86%E3%82%8A%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%AE%E6%97%A5%E3%80%85/id1551338944


私自身の子どものころは

ヴァイオリンを弾くより

身体を動かしているほうが得意で

お勉強はまぁまぁ・・・

体育の成績だけはずば抜けて良くて

音楽高校を受験するときは

最後の最後まで悩みました。

体育大学に行った方がいいかも、って。

ヴァイオリンの練習だって

当時、2時間程度が限度のお粗末さ。

両親もため息をつきながら

「あなたは本当に体育が好きよね」と

半ば呆れるように

「ヴァイオリンはどうするの?」と言いつつ

目の奥は「仕方ないわね~」といった諦めが

透かして見えるような物言いでした。

それでも

体育の道を選択することはなく

ヴァイオリンを相棒にすることに決めて

弾き続けることにしたのです。

多分「これが私の道かな」と直感がささやいたから。

音楽の道に進んでからは

同学年の友人に刺激を受けて

勉強し

練習を重ねて

七転八倒しながら

頭をひねり

まだまだ

今もなお弾き続けています。

「やっぱりヴァイオリンを弾いているときが自分らしいかな」と思うから。

でも、いつ何かが起こってヴァイオリンが弾けなくなるかもしれません。

私は姉のように多才ではないので、そんなことになったら不安しかないですが・・・

そんなことになったらどうしよう・・・

(考えをやめよう)


姉との6学年差の大きさは

時に意地の張り合いになり

競争相手になり

価値観の違いをぶつけ合い

お互いに傷つくことが多かったものが

今では「同じ年代」となって

穏やかな関係になりました。

姉が私の存在を

「小さな何もできない妹」から

少しだけ認めてくれたからかもしれません。


個性が違い

目指すゴールが違い

生活スタイルも全く違う

私たち姉妹。

それでも何か

そこはかとなく

共通点があります。

それは根底に流れる家族の基盤なのか

同じ音楽家という道を経験しているからなのか・・・


月に1回程度

定期的に会う姉妹の会。

相変わらず私は「妹」という立場に甘えて

ヘラヘラしているけれど

それでも姉の盲目になった目の代わりに

外側から彼女の心の奥を覗いているつもりです。




2025/02/06
37「オクターブ練習に思うこと」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

今日は冷えました。
なかなか身体があたたまらず
ピアノの練習をしていたら
ショパンのエチュード第1番が
かなり弾けるようになりました。
素直に嬉しい・・・
(冷静に見れば現実逃避ともいえるが…)

私の自宅にあるピアノはヤマハのアップライトピアノ。
鍵盤一つの幅は約2.2㎝。
オクターブ(例えばドから7つ先のドまで)の距離が約18.8㎝。
(実際に弾く時は鍵盤に指が届いていれば良いので18㎝広げられればOKです)
私の中でピアノ弾きとは、オクターブが届くかどうか。
どれだけ余裕をもってオクターブが弾けるか?
オクターブの中に他の音も弾くことができるかどうか?
たいていのオクターブは親指と小指を広げて同時に弾くので
オクターブの幅を感覚で覚えていると
とてもラクに弾くことができます。
私の親指から小指まで19㎝ですが、オクターブを弾く時は18㎝で弾くことができます。
1㎝の余裕は大きいです。
鍵盤の幅が決まっているってステキ~!と思ってしまうヴァイオリン弾き。

私はヴァイオリンでオクターブを弾くのが苦手です(プロなのにそんなこと言っていいのか?)
なぜなら小指が短いので、オクターブが苦手なんです。
(ヴァイオリンは人差し指+小指、または人差し指+薬指でオクターブを弾く)
ヴァイオリンのオクターブの幅ってピアノのように㎝で表せることができないので
耳で聞きながら感覚で確認していきます。
場所によって音が出にくかったりするので
きっちりと合うまで忍耐力が必要です。
指を変えるフィンガーオクターブ(人差し指+薬指→中指+小指、交互に動かす)なんて
いつも涙目になりながら練習しています。
とても地味~な練習、そしてかなりハード・・・

手が冷たい時にこの練習をしてはいけません。
手の筋を痛めますよ。
充分に手を温めてから弾きましょう。
そして、長時間この練習をしないこと。
毎日、短時間で。

私も自分のルーティンはありますが
身体の変化とともに
練習方法も変化(進化)させなければなりませんね。
今年は時間をかけて、じっくり取り組みたいと思っています。



2025/02/05
36「もくもくと(孤独に)練習する音楽家のひとりごと」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

寒さに負けてしまいそうな毎日。
それでも春が近いと感じるのは陽の長さ。
夕方5時を過ぎても明るいのは
何となくホッとします。

今は4月のコンサートに向けて練習しています。
30分の小さなコンサートなのですが
自分で選曲したプログラムが手強くて
いつものことながら
四苦八苦しそうです。

私の悪い癖。
身の程知らず・・・

でも、練習すれば弾けるようになります。
慌てず
騒がず
コツコツと練習するだけです。
今の時期は「無の境地」で
指に音の場所を覚えこませます。
頭の中では
色彩豊かな音の表現方法を考えつつ
実際の音は
ひたすら反復練習を繰り返します。

時々「できない~」って独り言を言っています。
「ごはん何にしようかな~」って考えているときもあります。
諦めてピアノを弾いて逃げているときもあります。


弾けない場所は、小さく区切って。
ゆっくりのテンポで音を拾い上げて
順番につなげていく。
ひとつつなげられたら
その前後をゆっくりつなげる。
テンポを速める。
頭で鳴っている
自分の音にむかって
積み上げていく。


音楽は一瞬の芸術。
音を放ってしまったら
元に戻らない。
本番ではそのことを考えています。


悔いの残らない演奏にするには
やっぱり地味な練習。
ホント、地味です。

ええと。
3月にもコンサートがあるのですが
全く違うプログラムなので
これもまた
黙々と練習するのみです。
時間制限があるのでMCで長くなってしまわないように注意です。
(マイクを持つとおしゃべりです)
こちらの曲たちは、少し地味を通り越して
曲の色合いを模索中です。



この時期は
いつもこんな風に過ぎていきます。
地味な生活ですが
嫌いではありません。




2025/02/04
35「五感を大切にする生活を」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

立春を過ぎて暦の上では春。
まだまだ寒いけれど春に向けて準備をしていきましょうね、という
季節の後押しを感じます。
これは、四季を大切にする日本人の繊細な部分。
私はこの感覚がとても好きです。
日本人で良かったな、と思う瞬間です。

私は公式LINEで二十四節気に沿って
五感を大切にするメッセージを発信しています。
季節の巡りを意識すると
無理のない緩やかな生活が進んでいくように思えます。


少し先の季節を感じながら
音を紡いでいくことの楽しさ。
音楽の中に流れる季節。
空気や色彩の豊かさを感じることによって
音楽の表現力は倍増していくと思います。

西洋文化にはない
日本人にしか表現することのできない
四季の彩り。

主に西洋音楽を再現する音楽家ではあるけれど
自分の生きている世界に自信をもって
生きていきたいと思っています。


GRACEFUL STYLE
五感を大事にする生活をご一緒に感じませんか?


2025/02/03
34「ヴァイオリニストのアクセサリー事情」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

今日はヴァイオリニストのアクセサリー事情についてお話ししましょう。
ヴァイオリンを演奏するときに、一番気を遣うことは
「邪魔にならない」ことです。
衣装やアクセサリーが気になって、演奏に集中できないことが一番もったいないことです。

私はアクセサリーに関して
  • ネックレスはしない
  • 垂れ下がるピアスはしない
  • 指輪は右手だけ
  • ブレスレッドはしない
  • ビーズ飾りのものは極力避ける
といった制約を設けています。

「ネックレス」は汗っかきなので、アクセサリーが皮膚に張り付く感じが不快なのでしません。
「ピアス」は楽器に当たる可能性があるので、小さくて光をうけて輝くものを好みます。
また、アクセサリー作家さんに作ってもらった右耳だけのビーズイヤリングは好んでつけます。
軽くてしっかり耳に装着できるので落とす危険がありません。
「指輪」は結婚指輪も右手薬指のサイズで作りました。
今は夫の結婚指輪も右手中指にしています。
右手だけは色々と楽しんで重ね付けをしています。
「ブレスレッド」は弓をひっかけてしまったり、ふいに楽器に当たってしまうことを考えて演奏中はしません。
「ビーズ飾り」は悩ましいところですが、洋服であれば肩回りから遠いところであればOKにしています。

コンサートへいらっしゃるお客様は、演奏者がどんな衣装を着ているのか楽しみにされます。
舞台へ出ていったときに、おっ、という声が聞こえると
「よし、今回は成功した~!」と一人でニヤニヤとしてしまいます。
それだけでコンサート自体が盛り上がります。
自分自身が楽しくなるので、お客様にその雰囲気が伝わります。
女性のお客様は、遠くからでもよく見ていらして
終演後にお会いした時に
「イヤリングの色が衣装と合っていて素敵だった」
「指輪がきらきらしていて可愛かった」と
感想を伝えてくださる方もいらっしゃいます。

もし、コンサートへ出かけることがあったときは
女性のアクセサリーに気を留めてみてください。
その方の個性が出ているかもしれません。
その方のポリシーが表れているかもしれません。

アクセサリーに正解・不正解はないので
演奏者のこだわりが感じられますよ。

近頃の男性演奏家も、とてもおしゃれでスタイリッシュなので
彼らのこだわりがどこにあるのか探してみることも楽しいでしょうね。


アーティスト写真を撮るときは
アクセサリーで盛った方が良いなぁ・・・と
反省したものが今日の写真です。
いつもの感じで撮ってしまった・・・
ちょっと寂しい印象ですね・・・

生活者としての自分と
演奏家としての自分に
かなりのギャップのある身としては
時々「おぉ、辛いな」と思うこともあるのですが
その話はまた今度。




2025/02/02
33「娘たちとの会話」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

1月は娘たちがとても忙しい毎日を過ごしていました。
学校オーケストラプロジェクトや室内楽のコンサート、現代曲のレクチャーコンサートのための準備や公開演奏、次の学期に向けて自分の進路を考えたり、オーディションに向けての書類作成などに忙しい長女。
次女は1月に学期末を迎えるため試験が目白押しで、学科内容をフランス語と日本語で理解しながら口頭試験のためにフランス語の精度をあげる、次のステップのための調査と準備のためにじわじわと練習時間を圧迫される日々。
通学時間の長い次女は、試験やリハーサルのために往復3時間を見積もらなければならないので、それはまた別のストレスがあるようです。
二人とも弱音を吐くことはあまりなく、とにかく毎日を必死に頑張って過ごしている様子がわかります。
娘たちとの連絡手段は、LINE、WhatsApp、facetime。
特にfacetimeはお互いの様子が画面でわかるので重宝しています。
8時間の時差(3月末から7時間)は、なかなか大きい時間軸のズレがあります。
それでも顔を見て話せるのはとても安心します。

長女とのfacetimeの時間は、日本時間の夜8時頃。
長女がたいてい朝の練習を終えてお昼ご飯を準備しているころです。お互い食事時なので「何食べてるの?」という会話から、旬の食材の話、飲み物、季節の話から本題に入っていきます。(思いのほか長女はおしゃべりなので、私はほぼ聞いているだけ)
次女とのfacetimeは日本時間の朝6時前後。
次女の1日の予定を終えてリラックスしている時間。日中は学校の授業や練習で時間がとれないため必然的にその時間になっています。(次女は必ずこちらの様子も聴いてくるので、果たして昨日のことを話したらいいのか、今日の予定を話すべきか寝ぼけた頭で考える)
3人で話すときは、たいてい誰か2人が話しているところに一緒に入れてもらう感じです。

年齢の違い、性格の違い、大学と大学院の違い、住んでいる国の違い。
最初のうちは「予定を間違わないように聞いていなくちゃ」「ちゃんとアドバイスしなくちゃ」と思っていましたが
今年になってからあきらめました。
・・・無理・・・

こちらの記憶力の衰えが激しいし、スピード感あふれる若者の生活は常に変化しています。
そして、母親のアドバイスなんて真剣に聞くわけがないのです!
ちゃんと自分で答えを持っているけれど、その答えにたどり着くまでの道のりが明確ではないから話すことによって自分で整理している。
私の役割は、彼らの絡まった思考の糸を少しだけほぐす役割。
あとは自然に道が見つかるはず。


そういえば、自分もそうでした。
ドイツ留学時代に母に電話をかけて、延々と自分の状況を話し、自分で思っていることを話していると
「そうねぇ。いいんじゃない?大丈夫よ」という言葉を聞いてホッとして電話を切ることが多かったものです。
留学を終えて帰国した後に「国際電話の料金代が気になってきちゃって・・・最後の方は聞いていなかったこともあったわ・・・」と言われました。
それでも、私としては単純に聞いてもらえることがありがたかったです。

話すことによって思考が整理されるのであれば、お安い御用です。
二人とも修羅場をくぐる経験は多く、たいていのことは時間をかければ自分で答えを見つけられます。
自分の殻にこもってぐるぐると堂々巡りをするより、サッサと誰か安心して相談できる人に話すことの方がラクに生きることができます。
彼女たちにとってそれが私の役割であるならば、こんなにうれしいことはないと思っています。


私の課題は、自分の意見を言いすぎないこと。
白熱して自分の意見を彼女たちに押し付けていることが(多々)あります。
黙って聞くこと。
ついつい余計なことをしゃべってしまう自分を律することが、今の私が学ばなければならないことです。




2025/02/01
32「本物をみる」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

私はテレビをあまり見ません。
気になる番組をサクッとみて終わり。
ドラマもニュースも見ません。
(子どものころに見すぎたのかも)

先日、夕食を食べ終わり
なぜか久しぶりに天気予報でも見てみようか、とテレビをつけたら
大迫力の女性歌手が歌を歌っていました。
「あれ、ミュージカルの曲だけど、なんだったっけ?」
と思いながら釘付けになりました。*

我が家のテレビは大したものではなく
(どちらかというと小さい)
スピーカーもテレビ付属のものなので
ものすごく音が良いというわけではありません。

でも、その歌手の歌う
歌詞に表情があって
メロディーとリズムに躍動感があり
心臓を鷲摑みにする声量に
身動きが取れなくなりました。

本物ってこういうことよね・・・

表現するものにきちんと焦点が合っていて
伝えたいことが率直
確かな技術の上に
その人自身の個性が加えられると説得力が増す

アレコレ小細工しないで
straight forward

清々しい思いが駆け巡りました。


自分の道を愚直に歩いていこう、と
改めて思った夜でした。



*ミュージカル「ウィキッド」より Defying Gravity