こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。
ルツェルンにいる長女から
「この本の著者がいるの!
今度レクチャーを受けることになったのよ。
残念ながら本は日本に置いてきちゃった。
電子書籍で買いなおしてレクチャー受けてくるわ」と連絡をうけて
どれどれ・・・どんな本なんだろう?
と長女の本棚から拝借して読み出したら止まらなくなって短時間で読了しました。
『クラシック音楽家のためのセルフマネジメントハンドブック』(ベルンハルト・ケレス+ベッティーナ・メーネ)
”音楽家が音楽家として生きる”
これは長女がずっと考えていることです。
音楽家の立場は正直に言えば、なかなか厳しくて難しい。
安定した職業ではないし
全てが自己管理。
演奏だけではなく、日常生活もこなさなくてはならないし
健康管理もしなければならないし、生きていれば噴出してくる
人間関係や役所関係、煩雑な事務手続きなどで忙殺されます。
そういった中で
10年後の自分は何をしているのか
自分の指針となる方向を見定めて
今日、今からできることを始める。
ライフオーガナイズと同じ手法を使って
行動を細分化していく方法が記されていました。
もちろん、音楽家を対象としているので
改めて自分のことを振り返って
質問に答えてみたりしました。
50代で人生の先を想像するのは
かなり勇気のいることです。
自分で思っているほど先は長くないし
つい数日前に想像していた未来のことが
唖然とするほど簡単に崩れ去ってしまう経験も現実にあるわけです。
私もつい最近まで
年単位での目標を考えることができませんでした。
目の前の事に集中して、こなすことで
安心感・満足感を得ていました。
自分がちゃんと生きること
息をして、食べて寝て、毎日を初めて終えること。
ただそれだけできれば合格でした。
でも、そろそろ次に行く準備は整ってきたようです。
私には捨てる「自分」がありません。
「思い出」も全部抱えながら、重い荷物を引きずって進むのは
容易ではありませんが
そこは50年以上生きてきた智恵があります。
荷物を分散して、持ち運ぶこと。
お手伝いしてくれる人を探す。
道具を使って運ぶ。
一時保管所に預けておくこと。
もしかしたら、いつか「手放す」ことができるものがあるかもしれません。
「捨てる」から始めない。
そう、持っていても動けるのであれば
持っていれば良いのです。
そんなことを思いながら
新しい9月という月を始めました。