塚本香央里 ~ヴァイオリニスト&ライフオーガナイザー~
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227「音楽の方向性」

2025/08/15
227「音楽の方向性」
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

ヴァイオリニストは楽譜に書いてある音符をきちんと再現する仕事があります。
でも、それだけで完結することはなく
曲の構造を理解し、作曲者の背景、時代、当時の人々の生活までをも想像して
自分なりの解釈を加えて演奏しなければなりません。
更にその先には、全く新しい作曲家像が思い浮かんできて
今の時代に照らし合わせた斬新な解釈が生まれることもあります。

共演者同士が、どこまでその曲に対しての解像度が一緒なのか?
とても大切でセンシティブな問題です。

お互いの演奏を聞きながら
楽譜に書かれている音の大きさやテンポが
相手はなぜそのように弾くのか?
耳を澄ませながら
息遣いを聞きながら
理解していく時間。

私はこの作業がとても好きです。

相手の演奏を聞いただけでは理解できない場合
なぜだか聞いてみる。
自分の意図が分かってもらえていないな、と感じた時に
言葉で説明する。

この作業は言語化の訓練にもなりますし
自分自身も自分の演奏を改めて見直す機会にもなります。

もちろん、リハーサルの時間内では咀嚼できないこともあるので
次回までの保留になったりします。
次のリハーサルで振り出しに戻ることも多々あります。
正解を求めるのではなく
可能性を探していくことが重要だと思っています。

思考がフル回転になるので
リハーサルを終えるとクタクタになります。

音楽を紡ぐ、ということは
そういうことだと思っています。

私の場合は
リハーサルは実験室だと思っているので
本番では通用しないことも試してみることが多々あります。


多分、共演者は「面倒なヤツ」と思っているでしょうね。
そういう方としか、ご一緒できないのかもしれません・・・