塚本香央里 ~ヴァイオリニスト&ライフオーガナイザー~
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4「本物の感覚」

2025/01/04
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

幼いころの私はヴァイオリンより外遊びが大好き。
近所に住む同い年の友達と
一日中庭を駆け回り、
公園へ出かけて鬼ごっこ、
田んぼで走り回って(冬限定:夏は蛇が田んぼを泳いでいるので怖くて近寄らない)
冬枯れの野原でひっつきむしをくっつけて帰宅して
怒られる…の繰り返し。
その当時流行っていたリカちゃん人形やこえだちゃんの木のおうちを
友だちも私も持っていなかったため
他の友達と遊びの仲間に入ることができず
ひたすら外で遊んでいました。

その時の私に「よくやった!」と褒めてあげたいことがあります。
それは自然の息吹を感じ取る感覚の鋭さを養ったからです。

なんとなく空の色が違うからお天気が変わりそう。
なんだか雨のにおいがするよ。
春が近づいてるね。
なんだか日暮れが早くなって帰る時間が早くなったかも。
冬の田んぼはポクポクしてるよ。
霜柱はザクザクしてずっと踏みしめていたい!


あの頃は四季の移り変わりが
今よりもっとはっきりだったからかもしれません。
でも、感覚が自然のリズムをちゃんとキャッチしていたように思います。

それらは家に帰って母が
「台風が近づいてきているから気圧が変化していて頭が痛いわ」
「今日は啓蟄だから、私の嫌いな長い生き物が土から出てくるのよね」
「秋の日はつるべ落としっていうのよ。スッと陽が落ちて寂しいわね」
「もう、冬至ねぇ。ストーブの上に干し芋のおやつがあるわよ~」
と会話したことが今でも耳に残っています。

あなた自身
もしくはあなたの子どもさんは
そんな感覚を持っていますか?

音楽はそんなことを全部ひっくるめて表現するのです。
どんな色で、どんな音で、どんな味覚で、どんな香りで、どんな肌触り?
自分の喜び・彼女の怒り・あの人の悲しみ・小さな小さな楽しみ・・・
どんな曲を弾くにも
それらが必要になってくるのです。

子ども時代にどれだけたくさんの経験をして
どれだけ心に刺激があったか。
それらが本物であればあるほど
音楽の原石はゆっくりと美しく磨かれていきます。

ちなみに私の娘たちも感覚は鋭く
音感とは別に
経験値は私を上回って
様々な感情や感覚を持っていると思います。
それを素直に表現するか
少し熟成させて表現するか、というのは
その人の個性になるのではないかと思っています。