ビーバー(1644-1704)作曲「ロザリオソナタ」より パッサカリア
この曲を聞くのであれば、聖書のお話を少し知っているほうがより理解が深まるでしょう。以下は私の解釈なので専門的ではありませんが、ほんの少し理解の手助けになればと思います。
【聖書】というのは大きな物語です。
旧約聖書に書かれていることは、どうやってこの世が始まったのか、この世に生きるための約束事や言葉の違う様々な民族の歴史、教訓を含むたとえ話や格言、自分たちを守る救い主が現れるだろうという預言にいたる壮大なストーリー。新約聖書はその預言がどのように成就していったのかを、イエス・キリストの生涯をたどりながら語られています。マリアというのはイエス・キリストの母。母の中でも特別な存在として聖母マリアとも呼ばれます。
そのマリアの受胎告知から戴冠までの15の秘蹟を表した曲集がビーバーの作曲した「ロザリオソナタ」と呼ばれるものです。
ロザリオって?
15の秘蹟とは?
それぞれの秘蹟に対して7分前後の曲が書かれています。
このうち第1曲目以外をスコルダトゥーラという調弦の違う楽器で演奏されます。
これは古楽器の分野なので、同じヴァイオリンの形態をしていますが私自身は弾ける自信がありません。
特に11曲目は4本の弦の中央2本を入れ替えて演奏する・・という超絶技巧・・・。まったくもってお手上げです。
余談ですが、
これはビーバー自身が、何か特別な意図をもって作曲したに違いないのですが、私には難解すぎます。
ただ、何か数字が関係してくるような気がしています。
キリスト教には数字に関することが多く存在するので、これから気長にじっくり考えていくのも面白いかもしれません。
15のソナタ後に作曲される「パッサカリア」は、通常の調弦で演奏します。
秘蹟を受けたことを静かに感謝するようなヴァイオリンソロ。
《ソ・ファ・ミ・レ》という下降するテーマが65回繰り返され、様々な音型とリズムが変奏されます。
演奏時間は、この「パッサカリア」だけ9分強の長さがあります。
オリジナルの楽譜には守護天使と幼子の絵が描かれており、守護天使の祝日を表しているといわれています。
少し専門的で難しい内容だったかもしれませんね。
でも、こんなお話を少しずつ易しくお伝えしていきますので、コンサートに立ち寄ってくだされば嬉しいです。
クラシック音楽を聴くだけではなく、知識を蓄えながら、さらに一歩先のコンサートへ。
私の音楽を聴きに来てくださるみなさまを
次のステージへお誘いすることができれば最高だと思っています。