塚本香央里 ~ヴァイオリニスト&ライフオーガナイザー~
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5「練習の苦行」

2025/01/05
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

外遊び大好きな私の課題は、なんといってもヴァイオリンの練習でした。
とにかくずっと遊んでいたい…
隙あらば外に出て自転車に乗って走っていたい…

私の母は「4時半になったら練習しなさいよ~」とだけ
毎日私に叫んでいました。

なぜか?

そう、姉が5時半過ぎからピアノの練習をするからです。
練習室なんてものは存在しないので、ピアノもヴァイオリンも練習はリビング。
姉は真面目で時間通りに事が進むことを望みます。
中学校から帰ってくるのが5時過ぎ。
その後、夕食までの時間をピアノ練習に充てたい。
そんな時に、ノソノソ妹が聞くに堪えないヴァイオリンを弾いていてほしくない。
妹の方が早く帰って来ているのだからサッサと練習を済ませておいてほしい。
母は姉から文句を言われていたのでしょうね。

母から焦って「早くしなさい~。お姉ちゃんが帰ってきちゃうわよ~」と呼ばれて
私はしぶしぶ、しょうがないので帰宅してヴァイオリンのケースを開けるだけで
あくびが出てきてしまう。
楽器を準備するのも一苦労(楽器をそろそろと出して、弓の毛を点検して松脂をつける)
調弦(4本の弦をチューニングする)も難儀。
楽器を構えるのもさらに大変で、ああでもない、こうでもない。
弦に弓を置いて音程を合わせるのなんて!
なんでヴァイオリンってのは難しい楽器なんだ!!

母も横について、ヴァイオリンの先生がおっしゃっていたことを書き留めたメモを片手に
色々と工夫してみても、肝心の私がしっかり弾かなければ何の音も出ない…
私もなんとか努力してみるも、良いのか悪いのかサッパリわからない…

今思えば、よく続けていたなぁと思います。
最終的には、姉にピアノで音を弾いてもらって
その音を頼りに音程を合わせていきました。
レッスンに行っても、音程が違う!と怒られてばかり。
同じ時期に始めたお友達はスラスラと滑らかに奏でているけれど
私はいつまでたっても「音程が違う」ばかり言われていました。

このころの私は有無を言わずに
「4時半になったらヴァイオリンの練習をする」
という習慣を刷り込んでいた時期だったと思います。
それ以上は母も期待していなかったのかもしれません。

それも大切なことだと思います。
弾けるようになるには、練習するという習慣が必要です。
その時間をどこに設定するのか?
私には選択肢がなかったので「4時半」でしたが
生徒さんの中には「お風呂から上がってパジャマに着替えたら」という子もいました。
親心としては「朝7時」なんていう朝練に惹かれますが
私自身が娘たちに試してみたところ
学校へ送り出す前にヘトヘトになってしまうので
自分の身がもたないので止めました。
相対的には、学校から帰宅してすぐに練習、という生徒さんが
多かったように思います。

私自身は、自分(親)が先に管理しようとして失敗することが多々ありました。
その子自身の個性や最適な時間が必ずあります。
その時間を色々と試してみるには、やはり時間が必要です。
長くヴァイオリンを弾いていきたいのであれば
そんなプロセスを飛ばすことなく
お子さんの個性をたくさん発見しながら進めていくことも
大切なことの一つなのではと思います。

私は今もなお
4時半前後にソワソワとしてしまう自分がいます。