こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。
3月になると気が引き締まります。
14年前の東日本大震災へ思いを寄せることになるからです。
私はあの頃、子育て真っ最中でした。
長女が小学校4年生。
次女が幼稚園を卒園するタイミングでした。
押し寄せる情報に翻弄されながら
自分の生活を守ることに必死でした。
混乱した世の中で
「音楽家として何か支援をしたい」
という音楽界の動きも活発でした。
実際に被災地へ行って
音楽を届けたり
楽器を届ける活動をする音楽家がいました。
自分自身が動けずに
「なにもできることがない」
「音楽なんて喜ばれないのではないか」と
嘆く音楽家もたくさんいました。
私自身は
何もできないことを自覚し
自分のことを優先していたので
音楽家としてできることはなく
それでも、3月末に仲間のピアニストから
「チャリティーコンサートをしたいので
一緒に演奏してほしい」と言われて
その年の7月に演奏したことが
とても嬉しかったことを覚えています。
そのチャリティーコンサートは
今も続いていて
頻度は減ったものの
コンサートで弾くたびに
あの時のことを思い出すことになります。
私が音楽家として支援できることは
本当に些細なことしかありません。
忘れないこと。
毎年3月に思い出すこと。
それしかないのです。
今年の3月は
演奏する機会をいただいたので
14年前を忘れないような
プログラムを組み、心を込めて演奏します。