12月のリサイタルプログラムは、いつでも挑戦的です。
私自身もチャレンジして臨む曲ばかりですし、お客様も今までの知識を総動員して聴きにいらっしゃいます。
初めのころは
「もっとわかりやすい曲が聴きたい」
「名曲コンサートがいい」
「モーツァルトがききたい」
といった声が多数寄せられました。
私も悩みました。
お客様が喜ぶ曲を弾いていた方が良いのかもしれない。その方が客席は満員になる可能性がある。でも、その時に夫が私に言いました。「君のコンサートなんだから、君の好きに弾けばいい。僕は難しくてゲテモノみたいな曲を聴くのは好きだし、そういう曲にチャレンジしている君を見ているのが好きだ」身近で私の演奏を聴いている人に、そういってもらえるのはとても嬉しかったです。夫は海外出張時に楽譜屋さんへ行って、難しそうな楽譜を買ってくることが好きでした。「店員さんが椅子を貸してくれて、ゆっくり見ていけば良いよって言ってくれたんだよ」「無伴奏の曲って難しそうだね」と言って渡される楽譜の山は、私にとって「ええ~こんな曲弾けないよ~」というものもありましたが、中には掘り出し物の曲もありました。ポーランドの女性作曲家「バツェヴィッチ:ポーランド奇想曲」は私のお気に入りになりましたし、「ビーバー:パッサカリア」は日本で演奏されるよりも前に私のレパートリーとなりました。今でも、無伴奏曲を弾くと夫の得意そうな笑顔が思い浮かびます。
そうしてある時から、耳に心地良い曲だけをピックアップすることを辞めました。知ったような曲ばかりの並ぶプログラム構成を辞めました。その代わり、毎回のテーマを大きく決め、知られざる曲を忍ばせて耳が慣れていく経験を積み重ね、言葉で説明していくことを意識しました。「聴衆の耳を育てよう」その思いを込めた新しいコンサート形式を模索する挑戦を選びました。
こちらが「本気」で向かっていけば、お客様にいつか必ず届くはず・・・
その思いは今も変わらず、試行錯誤しながらプログラム構成を考えています。