塚本香央里(つかもとかおり)
 ~ヴァイオリニスト&ライフオーガナイザー~
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2025/12/17
351「リサイタルプログラム、どう決めた?」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

今日は私が今回のリサイタルの曲目を
どのように決めたのか?という経緯をお話ししましょう。

今回のプログラムの中で決定していた曲は
ベートーヴェンのヴァイオリンソナタ第10番とプーランク。
プーランクに関しては、
去年のリサイタルに弾こうと思っていたのですが
「クロイツェルソナタ」とカップリングするには
自分の体力的にも内容的にも
かなり無理があるので断念。
今年のチャレンジとして準備していたのですが
他の曲がなかなか思いつかずに苦労しました。
そこで、ChatGPTに相談すると
「ガルシア・ロルカ」というポイントを見つけてくれて
ファリャの「スペイン民謡組曲」を勧めてくれました。
なるほど・・・と思いつつも
実はスペインの作曲家はあまり自信がなくて
迷いました。
「ちゃんと本物の音楽が伝えられるのだろうか?」

小さな曲の集まる組曲は、それぞれの音楽を
短時間で浮き彫りにする高度な技術と精神が必要です。
どちらかというと、じっくりと表現できるソナタが得意な私は
組曲のもつ瞬発力や展開の切り替えが苦手です・・・
でも、これを機に勉強してみるのもよいかもしれないと思いなおし
3曲は決まりました。

今年は無伴奏を入れようと思っていました。
久しぶりにしっかりと暗譜して、アタマに喝を入れて
尚且つ思い入れのある曲と言えばイザイ。
思い出のあるこの曲は、ドイツ留学時代の初めに勉強して
卒業演奏会で両親にも夫にも聞いてもらいました。
その後も節目になる年に演奏するような
エポックメイキングな曲。
今年の自分にピッタリだと思いました。

さて、これらの曲でリサイタルを始めるには無理があります。
イザイからコンサートを始める勇気はなく、
そして、時間的に若干短すぎる・・・
なにかリサイタルへ誘う曲がほしい・・・

そこに、長女からおススメされていた芥川の曲が思い浮かびました。
「譚詩曲(BALLATA)」
執拗なリズムオスティナートは
私の心の鼓動でもあり
自分で自分を傷つける痛みでもある。
そこへ日本の風景が重なる音列に
自分自身の感情の起伏を乗せて弾くことができたなら
この2年半の喪の期間が
再生へと向かうことができるのかもしれない。

私が音楽に乗せる感情は
全て自分が経験したことが素になっています。
それは嘘偽りがないものです。

曲が決まると、あとは演出。
初めてクラシック音楽を聴く方も
楽しめるようなちょっとした演出は
今の業界では普通のことです。
過度な演出は私の目的【本物を聴く】から外れるので
最小限でも印象的に使いたい。
そうなると照明。
暗転から照明のフェードインは2年前に経験済み。
・・・あ、また塚本はこの方法選んだな・・・と
思われた方もいらしたかもしれませんね。
2年前の思惑としては、始まるときの拍手が煩わしかったから。
拍手に迎えられて笑顔で舞台へ出ていく自信がなく
とにかく、自分だけに集中したかったからという理由でした。
しかし、今回は完全に演出。
芥川の世界観に誘うにはこの方法しか考えられませんでした。
(音出しキッカケから10秒で照明100%がリクエストでした)

芥川(導入・詩)→
ファリャ(スペイン各地を巡りながら言葉を想像する)→
プーランク(ロルカの詩から戦争・死の表現・喪)→
イザイ(塚本個人のエポックメイキング曲・展開)→
ベートーヴェン(リサイタル本来の目的への回帰・最終着地点)

ここまで創りあげるのは
なかなか難しいのですが
毎年のリサイタルはテーマも含めて
かなり熟考を重ねます。

その他、今年のリサイタルで気をつけたことの中に
MCをいつもより厳選しました。
(それでも、しゃべりすぎましたが・・・)
わかりやすく、言葉を選んだつもりです。
これは、アナウンサーの友人からアドバイスされたことと
お芝居を見に行って女優さんに学んだことです。
やはり、プロフェッショナルな方には
学ぶことが多いです。

私のコンサートは
楽しいけれど
学びがあって
自分の心の中にある
まだ開けていないドアをノックして
耳を澄ませてみる
・・・そんなコンセプトなのかもしれません。



2025/12/16
350「リサイタル・アンケート」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

リサイタルでお配りしているアンケート。
短い時間ですが記入していただけるととても嬉しいです。
(去年からQRコードをつけたので、
帰宅されてからゆっくり記入して
送信してくださる方もたくさんいらっしゃいます。
ありがとうございます!)
みなさんのコンサート後の興奮と息吹が感じられて
読ませていただきながら、
次のコンサートの企画を考えるのが楽しいです。

今回はその中から少しご紹介しましょう。
皆様のその時、その瞬間に感じた感情が
筆圧、言葉の強弱、文字の大きさに表れていて
原文を読むときは
ちょっと緊張します・・・

◎音の旅ができました!
◎バイタリティーあふれる・エネルギッシュ・ピアノももちろんすごい!
◎力強く・時に優しく・奥深い音色に聞きほれました
◎塚本さんの音色の豊かさに驚きを隠せません
◎ベートーヴェンは安定の美しさ・今回はプーランクが圧巻・メロディに魅了された
◎プーランク、ガツンときました
◎毎度ながら意欲的なプログラムで特に前半は新しい響きにワクワク感があった
◎楽しく、でも真心こめて弾いていらっしゃるのがとても伝わってきました
◎選曲もバラエティに富みプーランクとイザイは特に圧巻
◎ピチカートの響きが曲によってとても多彩で印象に残りました
◎年々パワーアップしている
◎めったに聞けない10番が聴けて嬉しかった
◎塚本さんのコンサートではいつも新しい出会いや気づきがある
◎新しい音楽に出会わせていただいています
◎MCの言葉でゆったり聴くことができた
◎やわらかい音と情熱的な音がすばらしい
◎前半は重厚感というより重圧感がありましたね。戦争の爪痕ってやはり大きいですね。
◎プーランク、生演奏を塚本さんの表現で初めて聴けて良かったです
◎どの曲も力強く深く、余韻を残しながら心の中に響いてきました
◎ベートーベンを軸にしてストーリーのあるプログラム構成に感心しきって聴いておりました
◎前半のグイグイと迫ってくる3曲を精一杯受け留めました。迫力が凄かったです。

その他にも、たくさんの言葉をいただきました。
皆様のひとことを大切に心に留めて
次の扉を開けていこうと思っています。





2025/12/15
349「リサイタル2025 御礼」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

リサイタル2025年
無事に終演しました。
いらしてくださった皆様
遠くから応援してくださった皆様
本当にありがとうございました。
ベートーヴェンのヴァイオリンソナタ10曲を
完走することができました。

珍しく雨の降った日曜日。
私のリサイタルは必ず晴れるのですが
今年は朝から冷たい雨が降りました。
時々雨足が強くなったりして
車でホールへ向かうときはとても緊張しました。

今年は照明や衣装
髪型やメイク(私なりに)も頑張りました。
この1年間、メイク講座を受講したり
お芝居を見に行って
女優さんの立ち居振る舞いを研究したり
アナウンサーの方に
話し方やコンサートの企画について
アドバイスをもらったり
自分なりにアップデートできたことが
たくさんありました。

もちろん、演奏に関しても
勉強することが多く
ビブラート研究や
中音域の響かせ方
左手のテクニックなど
小さな練習を積み重ねました。

全てを完璧にはできませんでしたが
それぞれのエッセンスをちりばめて
変化があったリサイタルになりました。
お客様がリラックスして音に浸っている感覚や
自分の音がホール奥まで飛んでいく様を
今年はしっかりと見て感じることができました。

【涓滴岩をも穿つ】
小さな積み重ねは大きな力になる

失われた私の一部は
1ミリの積み重ねから
また始まっています。
安易に
空虚な
積み重ねをするのではなく
自分の手で確かめながら
ひとつひとつ
静かに重ね合わせていきたいです。


皆様に感謝して。







2025/12/14
348「私の1年を表現する場所」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

今日のブログは予約投稿にしています。
さすがに本番当日は書ける自信がないので・・・



私にとってリサイタルは
1年間の自分を俯瞰する重要なコンサート。

どれだけ努力したか
準備に抜かりはなかったか
チラシの文言やプログラムに
自分自身の思いと乖離はないか
自分が経験したことがちゃんと表現できるか
それらがきちんとお客様に伝わるか

リサイタルにいらっしゃるお客様は
長年私の演奏を聴いてくださっている方が多いです。
私の軌跡を見てくださっています。


私はその視線を
良い意味で裏切っていきたいと思っています。


心を動かすには
驚きや視点の変換が必要になります。
いつも同じ変わらぬ自分ではない
変化球を投げられる音楽家でいたい。
音楽に関しては
さまざまな試みをしていきたいと思っています。

今日の演奏が
誰かにとっての
心動かす日となりますように。


*今回のチラシデザインは、私の状況をずっと見守ってくれるデザイナーさんに
「心のひだまりをイメージしました」とのこと。
薄くとも、やわらかくポッと灯るひだまり。まさに私の今の状況だと思います。
ありがとうございました!





2025/12/13
347「リサイタルへの最終ステップ」  
こんにちは。ヴァイオリニストの塚本香央里(つかもとかおり)です。

風が強くて冷たかった昨日。
リサイタルのための
ピアニストとの最終リハーサルを終えました。

娘たちが小さかった頃は
ピアニストに我が家へ来ていただいて
アップライトピアノでリハーサルをしていました。
その頃は、スタジオを借りるという概念がなく
リハーサルは自宅かピアニストの自宅が基本でした。
ピアニストによっては
仕事や予定の具合で
私の家でリハーサルをする方が良い方も多く
来ていただけると本当に助かりました。
アップライトピアノもそう悪い音ではなく
音響の良い部屋も相まって
我が家でのリハーサルは
悪いものではありません。

娘たちが幼稚園や学校に行っている間の時間。
それ以前は単発で預かってくれる保育園や
預かり保育をしているご家庭にお願いして
リハーサルの時間を捻出することの大変さ・・・
個人練習は娘たちが寝静まった夜中のキッチン。
翌日の食事を仕込みながら
弱音気をつけての練習は必死の形相でした。
その頃はプログラムも自分で印刷していたので
夫が私の横でプログラムを折る手伝いをしてくれていました。

【とにかく、今できることを最大限にする】
言い訳をするな
できることを地道にやれ
できない、と言わない

その頃、私が思っていたことです。
子育てを言い訳にしない。
全部を人任せにしないで
自分でできることは自分でオーガナイズする。

ちょっと大変だなぁ、と思うことはあっても
できないわけじゃないんだよなぁ、と
様々なハードルを、手を変え品を変え
積み上げてきた経験は着実に自分のものになりました。



最終リハーサル後の帰り道で
沸き上がる【思い出】に押しつぶされそうになって
思わず寝たふりをしました。
『あの時間はもう戻らないんだなぁ』と
寂しく思ったり
『もう、あんなに頑張りすぎなくてもいいんだよ』と
自分の肩をポンポンと叩いてあげたいような
複雑な思いに駆られました。

毎年のリサイタル。
一つ一つの本番に
家族の思い出がいっぱい詰まっています。
今年のリサイタルも
その中でひときわ輝いて
私の心の引き出しにそっと置かれる気がします。
たとえ、その場に存在するのは私ひとりだとしても
プログラムの中に
曲の中に
ホールの中に
家族がちゃんといるような気がします。


心を込めて









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